小生もついに焼きが回った。ここ最近、原因不明の体調不良で受診してみたところ、医師から「脂肪肝である」と告知されたのだ。
診療台に横たわってエコー検査を受けた。魚群探知機のようなモノクロの画面を見せながら、医師が解説を行なう。「ああ、見事なサシが入っていますね。長丘さん、フォアグラのようになっていますよ」と、医師。なんだか美味しそうに聞こえるが、モノが自分の内臓とあっては、まるで品評会で引き回されている牛の気分。世に言う「メタボリックシンドローム」である。「まず、お酒は当分控えて、それから脂分をとらないこと」という指導を受けた。禁酒令である。自宅内でもダメだ。
ほぼ毎日の中洲取材と称する飲み歩き。加えて忘年会シーズンで一段と酒量が増えた。食生活でも、偏向気味の食生活で、トンカツ、背脂たっぷりの豚骨ラーメン、豚足、串カツ、焼肉に行けばホルモンと脂三昧な小生。いい具合に肝臓が育ってしまったのである。
沈うつな気持ちで自宅に帰ってテレビをつければ、「うわあ、とてもやわらかい。噛まなくてもほぐれちゃう!」と、グルメ番組で高級なお肉を食すタレントがコメントしていた。恐怖心から思わずテレビを消した。
というわけで、「濃さはどれくらいにすると?」と訊かれれば、「水だけで!肝臓をやられているので・・・」と、悲壮な面持ちで嘆願することになった。当分の間は禁酒生活なのだが、すでに入れている予定もあって、付き合いで中洲のお店に行かなければならないのである。
ただ、せめてもの救いは、年末に入って中洲では人通りが増え、深夜、多くの店が閉まる頃に客待ちタクシーがいなくなるという大盛況が4日ほど見られたことだ。無理して顔を出す必要もなく、幾分かは養生に専念できるのがせめてもの救い。読者の皆様もお体にはくれぐれも気をつけて!
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポートしてきた男の遊びコンサルタント。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の歓楽街関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲(福岡市博多区)にほぼ毎日出没している。
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