＜受け継がれるかたちと精神＞
明治30年、石坂直吉氏が福岡県の中央部に位置する飯塚市で、菓子舗「吉野堂」を創業したのが始まり。飯塚市は、江戸時代に長崎県の出島に運ばれた砂糖が小倉まで運ばれる「シュガーロード（長崎街道）」の経由地としても栄えた歴史を持つ。これにより、お菓子づくり文化が育まれてきた。また筑豊といえば、明治初期から炭鉱で栄えた土地でもある。肉体労働が続く炭鉱で働く人たちの、エネルギーとなる甘いものが好まれたことも、お菓子づくりを支える結果となった。２代目の石坂茂氏は、人々に愛される饅頭を常に考えていた。そんなとき、夢のなかに現れたひよこ。 その愛らしさに、やっと探していたものとめぐり合えたと感じ、そのかたちづくりに没頭したという。そして、大正元年（1912年）、『名菓ひよ子』を考案。それから、2012年12月で『ひよ子』が生まれて100周年を迎えた。
（株）ひよ子は、「お菓子は生きものであり、味は無限である」「商品は私たちの生命であり、真心である」という『名菓ひよ子』誕生以来変わることのない精神を、このひよ子のかたちとともに受け継いできた。
＜飯塚から世界へ―『日世子』の想い＞
57年には、福岡天神に出店。さらに東京オリンピックを契機として、埼玉県草加市に工場を建設。東京駅構内に直営店を開店したことで、東京土産としても「名菓」として知名度を広げていき、創業の地である飯塚から福岡へ、東京から全国へと知れわたることとなった。
「これからも創業からの想いを受け継ぎ、世代を超えた人々に愛されるお菓子でありたいと願っています。やがて世界の人々に笑顔を届けるために、『名菓ひよ子』は私たちの想いとともに翔ばたいてまいります。その意味で、『ひよ子』は日本から世界への夢を広げる『日世子』だと思っています」とは、同社社長の石坂淳子氏の言葉だ。初の女性社長であり、石坂博史会長の妻である。
石坂社長は、「初の女性社長とよく言われますが、それほど戸惑いは感じていません。これまでのひよ子の歴史のなかで、店主の妻が支え、今のひよ子をつくってきたことも多々あるはずで、その責任を受け継いでいくべきと思うからです」と語った。家庭を守り、相手を気遣う女性特有の細やかさが、同社をここまで育ててきたようだ。また、「お菓子」という商品を展開するうえで、時代に適合するためにも女性社長が適任との考えもあったという。
｜ （後） ≫
＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）ひよ子
代 表：石坂 淳子
所在地：福岡市南区向野1-16-13
設 立：1959年８月
資本金：9,239万円
ＴＥＬ：092-561-7111
ＵＲＬ：http://www.hiyoko.co.jp
＜代表者 Profile＞
石坂 淳子（いしざか・あつこ）
1955年10月生まれ。福岡県出身。筑紫女学園短大国文科卒。96年にひよ子グループ会社取締役に就任し、06年には常務取締役に就任。09年、同社５代目の社長となった。創業115年の老舗初の女性社長として、注目を集めている。
たとえ国が壊れようと、たじろがず、己の経営使命を貫く経営者は、ここ福岡には数多く存在している！
―弊社代表 児玉直「発刊にあたって」より―
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■「日本を元気にする！福岡の特選企業107社」
発行日：2012年12月12日
発行人：児玉 直
取材・編集：（株）データ・マックス
発行所：（株）データ・マックス
定 価：2,100円（税込）・送料別
＜ご購入申し込み先＞
（株）データ・マックス
ＴＥＬ：092-262-3388
ＦＡＸ：092-262-3389
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