＜九州輸送シェア７割の医薬品、たしかな輸送品質で荷主の信頼得る＞
　同社が主に取り扱うのは、「医薬品」「住宅関連設備」「食品」「日用雑貨」の４分野。医薬品の輸配送では九州におけるパイオニアで、医家向け配送では８割の圧倒的なシェアを持つ。人命に関わる医薬品は、輸配送中のわずかな温度変化も許されない。輸送中の振動で品質の劣化を引き起こすこともあり、扱いにはきめ細かい管理が必要なだけでなく、品質管理のためのコスト負担もかかる。

　同社が九州で高シェアを占めるまでになったのは、いち早く定温車両を導入するなどして品質管理に万全を期したことが、武田薬品などメーカーの信用を勝ち得たためだ。約150台ある医薬品専用車両には微妙な温度調節機能を搭載し、わずかな温度変化も見逃さない。車両も、走行中の振動の少ないエアサスペンション車を導入している。
　2001から02年にかけて、医薬品メーカーの集中する大阪府と本社に定温の医薬品専用ターミナルを相次いで建設、保管から輸配送まで一貫して温度管理する体制を確立した。99年には業界に先駆け、ISO9002の認証を取得（03年ISO9001：2000年版に移行）した。輸送品質の向上を目指すこうした努力が、荷主の信頼を高めてきたと言える。
　輸送効率の改善を目的に04年８月には、大手医薬品輸送業者３社と共同で「PJDネットワーク（株）」（本社：東京都中央区）を設立した。これは、これまで各社が独自にメーカーから集荷していたのを共同集荷に切り替え、物流センターも共同利用することで、車両の削減とセンターの効率運営につなげるというもの。大阪の場合だと、同社と四国を本拠とする四国運輸が共同集荷し、同社の倉庫で保管している。09年４月からは九州産交運輸が共同集荷に参加した。同社とは九州で競合関係にあるが、博俊社長は「お互いに運行車両を減らせている」とコスト削減効果を強調する。

　「住宅関連資材」も同社が九州で強い分野。運送と倉庫を組み合わせた取り組みがいち早くパナソニック電工に評価され、同社の九州における物流拠点の役割を担っている。03年には粕屋町の第２ターミナルに「電材共配センター」を開設した。電材など建設・住宅資材は、ユーザーのニーズに合わせて目的地まで必要な時に必要量だけ運ぶことが求められる。同社は、どんな小さなものでも、メーカーの時間的なニーズに合わせて出庫から目的地まで最短で運んでいる。食品と日用雑貨では複数荷主の貨物を倉庫に保管し、配送先別に仕分け・梱包したうえで１台のトラックに混載して配送する同社の小口輸送のノウハウが生かされている。

＜人材育成に力、顧客に喜ばれる会社に＞
　11年３月に起きた東日本大震災は、国民生活を支えるライフラインとしてのトラック輸送の存在を改めてクローズアップすることになった。鉄道や空、海の輸送が寸断されたなかで、被災地にかろうじて物資を届けることができたのはトラック輸送だった。トラック輸送がなければ、被災地に迅速に食料や生活物資を輸送するのは難しかっただろう。
　とはいえ、トラック輸送を取り巻く環境は厳しい。燃料の軽油は高止まりし、業者の収益を圧迫している。排ガス規制などの環境対策にも取り組んでいかなければならない。10年４月からの改正労働法の施行で、１カ月60時間を超える残業には50％以上の割増賃金を支払うことになり、その運用に向けて社内の仕組みを変えていくことも課題になっている。

　同社は、ここ数年取り組んできたコスト削減や経営効率化の成果で、11年12月決算では過去最高の経常利益を上げた。最盛期には800台を超えていた車両を、運行体制の見直しなどで480台以下に減らした。博俊社長が力を入れているのが、輸送品質のさらなる向上と人材育成。輸送品質の向上は乾いたタオルを絞るのと同じでゴールはないと、手綱を緩めない。それを推進する人材は、50周年を機に本腰を入れて育成に着手、「将来を担う幹部要員が育ち始めた」と手ごたえを感じている。持ち前である、運送と倉庫の車の両輪にさらに磨きをかけ、顧客に喜ばれる物流企業になっていく方針だ。

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＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）博運社
代　表：眞鍋　博俊
所在地：福岡県糟屋郡志免町別府北3-4-1
設　立：1957年１月
資本金：8,918万1,000円
ＴＥＬ：092-621-8831
ＵＲＬ：http://www.hus.co.jp/

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