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タテ・ヨコ・ナナメで解決する(後)~優さんコラム(16)
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2013年1月 9日 07:00

<「未来の当たり前」を引き寄せる>
<z_3_s.jpg ナナメの方法は、全く新しい仕組みを考えて実行する、オルタナティブの運動だ。タテが選挙制度の壁で困難、ヨコもまた徒労感が募るばかりであるならば、ナナメを考えるのがいい。反対より無効化だ。たとえば原発に反対するのではなく、原発より安く発電効率の高い「天然ガスのコンバインドサイクル発電」を推進するのもいいし、発送電の分離や電力の自由化を実現させるのもいい。競争させれば原発の発電単価の高さが明らかになるからだ。

 もちろん自然エネルギーを伸ばすのもいいのだが、意外な盲点があった。それが送電ロスだ。50万ボルトの高圧線を1とすると、家庭の近くを走る6,600ボルトの送電線は5,739倍も送電ロスする。太陽光発電を導入して、有効な社会資産をつくっているつもりでいても、実際にはほとんど近隣の家に電気需要がなければ送電ロスで消えてしまっている心配がある。しかも電力会社は固定買取制度で太陽光発電からの電気を買っているが、その費用はすべて他の家庭の電気料金から回収できるから電力会社の腹は痛まない。もしかしたら電力会社は「買っているふり」をしているだけかもしれない。

z_4_s.jpg そこでぼくが考えるのは、電気を自給してしまう仕組みだ。自宅で作った電気で電気を自給して「オフグリッド」してしまう方向だ。グリッドは送電線のこと、オフグリッドとは送電線から離れて暮らすことだ。この仕組みはすでにできている。それを電気自動車と組ませてしまったらどうだろう。電気自動車はとても効率が高い上、自宅の太陽光発電でまかなったら、実質的に燃料は無料で、しかも二酸化炭素排出の心配もなくなる。やがて「ガソリン代+電気代」と「電気自動車代+太陽光発電+バッテリー整流装置」とを比較して、安い方を選択する時代になるだろう。この「未来の当たり前」を、今の時代に引き寄せることで解決したいのだ。

(了)
【田中 優】

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<プロフィール>
_tanakasi_p.jpg 田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。


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