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【新春インタビュー】髙島宗一郎福岡市長「夢が描けるまち・福岡へ」(4・終)
行政
2013年1月10日 07:00

<夢が描けるまちへ>
 ――残り2年間、福岡の都市力についてどのような認識で手を打っていきますか。

takasima_kodama.jpg 髙島 市長を目指した当初、私は旗に「とりもどせ元気!!」と書いていましたが、これは故・石村一明先生(福岡市議)が「『とりもどせ元気!!』というキャッチフレーズがいいのではないか」とおっしゃられ、満場一致で決まりました。「福岡は本来、もっと元気のいいまち」なのだと。しかし、就任から2年が経った今、「とりもどせ元気!!」は使えません。なぜかというと、もう福岡に『元気じゃないイメージ』がないからです。
 福岡市は今、コンベンションが連続で開催され、オープントップバスもまちを走り、警固公園もリニューアルされました。今年はフィギュアスケートのグランプリファイナルが開催されます。また、子どもたちの英語力を向上させるために、学校では毎週ネイティブスピーカーが英語の授業をしています。これは政令市の中でもトップレベルのものです。そういった様々な変化が目に見えることで、誰も「福岡があまり元気のないまちだなあ」と、思わなくなっています。つまり、ムードは大きく変わったんです。
 市長というリーダーにとってムード作りは大切な役割です。私がムード作りをせず、個々の政策について机にかじりついて1日中とりかかっても1人じゃ結局なにもできません。いろんなことをするには職員だけではなくて民間の方とも一緒になってしなくてはいけないからです。
 したがって、〝たった1人のリーダー〟にしかできない役割とは、やはり、まちのムードを作っていく、そのために大事なのは『元気の発信』と『夢と希望が持てる発信』をしていくことではないでしょうか。この2年間で少なくとも福岡は本来の元気な姿に戻りつつあると思います。また、「よし、チャレンジしよう!」というまちでもあり続けることが今後も大事だと思います。

 ――グランプリファイナルは、最初から市長が誘致するとおっしゃって実現しましたね。

 髙島 福岡がなぜ、2年前に元気がなくなっていたかということを分析すると、ずっといろんな国際大会が開催されていたのに、オリンピック開催地で落選し暗いムードになったことが大きいと思います。福岡らしい、元気な「おいさ!おいさ!」のまちが、〝その後の4年間〟ですべてストップした。「これも止める、それも止める」となったことが、暗いムードを生んでしまったと思います。私は、これを挽回するために、世界から注目を集める大会を成功させたいと思っていました。次のグランプリファイナルは、ソチオリンピック(14年)の直前にある大会でもあり、きっと盛り上がります。市民のみなさんにも誇りを持っていただきたいと考えています。

 ――原発事故の影響で、金をばらまいて地元経済界で権力を持っていた九電の元気がなくなりました。商工会でも、九電の支援があてにならないので自立的な動きをしようとなっています。行政のほうからも福岡の経済界に「元気を出しなさい!」というエールを送る時期ではないかと思います。

 髙島 もちろん、福岡のまちを動かすには経済界の存在が大きいですし、産官学民で結成した福岡D.C.(福岡地域戦略推進協議会)を軸に福岡の成長戦略の枠組みを作っていきます。みんなが知恵を出し合い、力を合わせて一緒にまちづくりを進めていきたいと考えています。

 ――今、若手経営者も含めた組織づくりも必要だと思います。

 髙島 そうですね。福岡市は、スタートアップ率で政令市中トップです。起業する若者を応援していくような制度を『スタートアップ・シティ』として充実させます。
 日本には夢が描ける場所が必要です。新聞やテレビは、暗くなるようなことばかり伝えているように思います。私自身、バブルも経験しておらず、社会に勢いのある良い時代を経験していません。今の社会を作ってきた人たちが「これからは悪くなる一方だ」と言いますが、悲観して後ろ向きになるのは嫌です。子どもも安心して産めるような社会にして、人口だって予測みたいに減少し続けるのではなく、上向きにしていきたい。それを変えるためには、何らかのイノベーションが必要です。それにはやはりあらたな起業が大事だと思います。そうすれば経済も活性化し、また新たな雇用も生まれていきます。

 ――気概のある人たちを中心に自立できる都市にするためには、起業家を生み出さないといけませんね。

 髙島 福岡市は、15歳から29歳までの人口比率が政令市で一番高いまちです。私は、「夢を描けるのに一番適している場所は福岡だ」と思っています。ビジネスがしやすく、暮らしやすいまちを創っていきます。

 ――本日は、ありがとうございました。

(了)
【文・構成:山下 康太】

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