<同業者を傘下に掌握する>
2000年から2010年の間、福銀はシコタマ儲けを積んだ。この10年間は、他の同業金融機関にとっては潰れることもある受難の10年であった。金融庁は同業他行の救済に、福銀の実力に依存した。まずは06年5月に、熊本ファミリー銀行が整理回収機構へ発行していた優先株主を買い取るかたちで、資本提携を図った。同年10月には、破れかぶれの状態にあった九州親和ホールディングスと業務・資本提携を行なった。実質は、福銀側が買収・吸収したものである(最終的に親和銀行としてふくおかフィナンシャルグループ入りした)。
07年4月に、熊本ファミリー銀行と共同持株会社ふくおかフィナンシャルグループを設立した。上場企業はこの持株会社になり、福岡銀行、熊本ファミリー銀行はその傘下企業になったのである。10年9月にはFFG3行(福岡・熊本ファミリー・親和)間による、ATM相互カード入金サービスを開始して業務効率化を図っている。まずはこの3行は一体的な連係プレーを行なってグループ強化に専念してきた。このグループの規模・業績の水準は、地銀協のなかでも一目置かれているのであろう。だからこそ谷頭取の経営実績が認定されて、今回の地銀協会長就任のドラマが生まれたのだ。
<次の人事布石は?>
さー谷頭取、次世代の人事策をどうするのか。まずは2013年6月から地銀協会長に就くとなると、2014年6月までは福銀頭取の地位にいなければならない。【資料2】を参照されたし。これが福岡銀行の取締役リストである。昭和28年生まれ組が大半だ。谷頭取と10歳以上の年齢の開きがある。一世代の差があり、同氏が抜擢したメンバーばかりだ。だからこそ、忠誠心溢れる連中である。谷頭取に苦言を呈することはできない。同氏の人事には口を挟むことは不可能である。今や【谷天皇の組織が完成した】と言える。
2014年6月において、『頭取のポストをわたして会長に専念するのか、はたまた頭取・会長を兼務するのか』と、巷では興味津々に谷頭取の人事策を見守っている。良識のあるOBの提案を披露しておこう。「谷頭取は子飼いを後継ぎにするのでなく、日銀から次の後継者を招請した方が賢明だ。そうしないと、必ず谷頭取の長期政権が続き、弊害が生じる。そうなれば、谷氏の功績がマイナスになってしまう」。
さー怪物・谷正明頭取は、次の人事布石の構想をどのように練っておられるのであろうか?
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