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18大後、中国にどんな変化が生じたか?
チャイナビジネス最前線
2013年1月16日 07:00

 中国共産党の第18回全国代表会議(18大)の閉幕からようやく1カ月が過ぎた。この1カ月間、習近平率いる中国にどんな変化が生じたか?日本のメディアは、中国に少なくとも以下の三方面の変化が生じたことを注視しているようだ。
 
(1)政治体制改革の序幕が密かに上がった。
 その最大の「しるし」は、中央政治局常務委員が9人から7人に減ったことだ。削減された2人とは誰か?1人は中央政法委員会担当の常務委員であり、もう1人は思想イデオロギー領域担当の常務委員だ。
 この2人の削減は何を意味するのだろう?
 
 まず初めに、中央は重慶の教訓を吸収し、中央政法委員会書記が「第2の軍隊」と言われる武装警察指揮に事実上参与していたものを、公安部長の管掌に帰属させた(公安部は「大公安部」に変わって、来年の国務院機構改革時には安全部をも兼ねるかも知れない)。今後、党は、社会の治安問題を直接管理することなく、国務院の統一的管理を委ねることとなる。同時に、中央政法委のランクを下げ、党の司法直接不介入を実現しようとしている。これは、憲法の尊厳をはっきりと指し示し「三権分立」を実現し、最終的に「公平、公正」の法制社会を打ち立て、政体基礎を固めるためだ。

 次に、中央が思想イデオロギー領域担当常委をカットしたことは、国内の一種リラックスした社会与論環境の醸成に効果をもたらす。国民が、このリラックスした環境のなかで自由に自分の考えや意志を表現すれば、多元的文化が育ち、まさに中国憲法が長年唱道して来た幾つかの「自由」が、国民の、真に享受できる権利に変えられる。したがって、中国は「世界的文化大国」となり、中国の思想イデオロギー領域管掌部門は、「取り締まり」から「服務」に向かわねばならないということになる。
 もし「中国の新指導グループは、政治体制改革を実施するかどうか?」と問われれば、2名の常務委員削減により、この政治体制改革の序幕はすでにあがったと言うべきだ。
 新中国の成立から60年、我々は、中国最高指導者が初めて、政・軍指導権の一括引渡しを実現したことに注目しなければならない。胡錦濤主席の、党と国家に対するこの極めて重要な貢献に感謝すべきだ。

(2)習近平、「微博(中国版ツィッター、WEIBO)による反腐敗」運動を発動。
 中国共産党が中国を掌握してから63 年、紆余曲折を経て、最後に、中国の国情に合った改革開放への発展の道を探し当てた。しかし、世界中が、中国の高速発展と腐敗官僚や共産党の腐敗幹部の跋扈を同時に見ている。特に近年来暴かれて来た諸問題の大きさは、欧米の先進国を呆れさせており、日本を含む諸外国の間で、「共産党」の赤旗が、今後どこまで担がれ続けられるかという疑問が生まれているのは、至極当然な事である。

 中国の新指導体制は、中国指導者が言うところの「党と国家の生死存亡に関わる」大事だが、共産党の自浄自癒は実現可能なのだろうか?外国人から見れば、それは、中国に大動乱が起こるのではないかという心配に繋がるのである。
 
_ch2.jpg では、この1カ月に満たない時間のなかで、中国新指導体制は腐敗問題の追求で何かやっただろうか? 最も見事に成し遂げたことは、「大衆の貪官闘争奨励」だ。中国6億のサイバー市民すべてを貪官監視員にし、高級腕時計のチェック、家屋敷のチェック、情婦のチェックから着手した。省都の大都市市長(例えば蘭州市長)から広東の小さな県の公安局長に至るまで、以前は誰も揺り動かせず、訴えても勝てなかった。表沙汰にさえ出来なかった腐敗問題を、140文字の微博を通じて報告させたのだ。そして実に簡単に貧官らを落馬させた。
 
 中国の大衆は、未だかつて、このような「猫がネズミを捕る」快感を味わったことはなかった。「ネズミ共」も、一生を棒に振らないために、ブランド時計は身に付けようとせず、女性と遊ぼうとはしないで、一般大衆に気を使いはじめ、尻尾を捕まれないようひたすら恐れている。
 中国の与論監視は、党の機関紙や政府メディアで始められるのではなく、民間の微博から始められている。「微博監視」が発揮する力は、すでに中央紀律検査委員会の作用を遥かに凌いでいる。

 最新の情報では、長期間中共中央弁公庁主任だった令計劃(現、中共中央統戦部長)夫人と兄弟が、罪名はハッキリしないが逮捕拘禁された。その火の粉が、胡錦濤の忠実な助手だった令計劃の身に降りかかることは必至で、取り調べを受ける日も近いと言われている。

 王岐山が管掌する中紀委が「ネットブロック」を開放し、大衆による与論監視を強化することで、共産党は確たる決心と信念をもって自分の腐った体の一部に荒療治を始めた。
 それほど遠くない日に、中国共産党は、党風を改変し民風を改め、社会全体に新しい道徳律と価値観を打ち立てるべく、確固とした、又徹底した「整党整風」運動を展開することになるだろう。
 
(3)幹部の「作風」を立て直す
 80年代、指導幹部基層における「一汁四菜」の接待規定が叫ばれ、90年代になって、再び叫ばれた。その後、料理はますます増え、スープはますます豪勢になった。そのうち、中国の大衆は、役人があれこれ飲み食いするのに、文句を付けなくなった。不満といえば、役人が飲み食いして仕事をやらないこと、やっても碌な仕事をやらないことだった。だから、指導幹部の作風問題は、中国大衆にとって、共産党と同じような風向計にしか思えないのだ。
 習近平総書記を始めとする新指導体制は、我々を奮い立たせるような「新八項注意」を早々と提起した。この「新八項注意」とは、具体的に「報道無用、題字揮毫無用、テープカット無用、出向時の道路封鎖無用、招宴無用、出迎え無用」などと、ほとんど中国大衆が指導幹部の作風に対して持っている不満に応えている。

 中央政治局委員が率先して「新八項注意」を実践していけば、各地方都市の指導者たちも、中国のある種の幹部の「大衆軽視、現実遊離、形式主義、官僚主義、虚言欺騙」などの問題行動をみだりに行なわないようになる。あるいは、その行動が抑制されたり、一定程度は改まるかも知れない。
 
 中国の改革は、共産党官僚の改革によって決まる。共産党官僚の改革は、中国の新指導体制の改変によって決まるのだ。最も恐ろしい事は、ひとつの国家で希望が失われることだ。そして、ひとつの国家の人民が、最も絶望を覚えるのは、望みを失うことだ。
 
 「常委削減」にしろ「貪官摘発」にしろ、更に進んで「新八項注意」の導入にしろ、習近平政権は、一歩一歩着実に努力を重ね、中国大衆に希望を与えつつある。したがって、冬の寒気は辛いが、我々は、たかだか一カ月に満たない短時日に、春意躍動の気息を聞き取っているのである。

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