＜学校法人化で信用力アップ、学生の獲得に弾み＞
　1992年に設立した西日本最大の日本語学校・西日本国際教育学院は、20周年を迎えた2012年春、新たなスタートを切った。運営会社を学校法人化し、学校法人宮田学園を設立。理事長には宮田智栄氏が就き、これまで理事長を務めていた宮田道郎氏は学園総長となり、グループを統括する立場となった。

　「学校法人化によって社会的信用力が増した」と話す宮田総長。東日本大震災や長引く不況の影響をものともせずに、12年は従来から100人以上増えて、定員通りの680人が西日本国際教育学院に入学した。日本語学校単体の事業で学校法人化した組織はほとんどない。日本語学校の経営で20年培ってきた努力の結果で、力がついてきた証だ。法人化で公共性がより高まり、信用力がついた結果、アジア各国からの評価も高まり、結果として学生数が増えたという。まさに、「発展のスパイラル」となっている。

　現在、アジアに600もの仲介業者や学校のネットワークを持つ宮田学園グループ。12年冬には、ベトナムの首都ハノイに新たな事務所を開設した。ベトナム人留学生の受け入れも充実してきた。また、ネパールに日本語教師を派遣する取り組みも４年目を迎え、ネパール人留学生も増えてきている。ネパールでは、「まずは日本に興味を持ってもらう」という事前教育から、留学生の獲得につなげている。今後見据えるのは、ミャンマー、タイ、カンボジアなど。これまでの日本語学校は中国の一極集中だったが、中国だけに力を入れていては立ち行かなくなっていくという。早い段階から未開拓の国に種をまき、それがすでに実ってきている。従来の日本語学校は「待ち」のスタイルが多かったが、「攻め」に転じて、他社をリードしていくという。

＜我々が果たす役割は「国際貢献に寄与する人材」の育成＞
　宮田学園は14年春、専門学校を開校する予定だ。現在の西日本国際教育学院校舎に隣接する敷地に新校舎を建設する。学校名は「国際貢献専門大学校（原稿執筆時は申請中）」。日本語学校で第一線を走り続けてきた宮田学園が創り上げる専門学校は、ありきたりの学校ではない。特長の１つとして、日本人だけでなく、世界各地の国や地域から異なった文化・言語を持つ学生を集めることが挙げられる。西日本最大の日本語学校の運営で培った世界各地のネットワークから、さまざまな国籍の学生を集めることができるだろう。そして、学校名の通り、「国際貢献に寄与する人材」を育成するために、「国際貢献」にふさわしい象徴的学科をつくる予定だ。九州で初となる「日本語教師養成学科」は、西日本国際教育学院の強みをいかんなく発揮するだろう。また、「ワーキング学科」は日本でも数少ない、実際に企業で働きながら、対価として報酬を得る科目を設置して、単位認定する仕組みを持つカリキュラムを取り入れた学科。実務教育と併せてグローバル化に対応したスキルを身につけることができそうだ。

　西日本国際教育学院では、日本語の学習はもとより、陶芸教室、防災訓練、地域の清掃行事、博多どんたく港まつりへの参加など、日本文化に触れる機会をたくさん設けている。これは、宮田総長が教育目標に掲げている「学生ひとりひとりの個性を伸ばしながら、日本語を理解することだけでなく、日本を理解する」人材になってもらいたいからだという。新しく設立する専門学校でも、その教育理念は受け継がれることだろう。

　西日本国際教育学院で、日本語と日本文化の基礎教育を学んだ学生たちが専門学校に進学する。そうすることで、日本人学生も大いに刺激になるだろう。多国籍の学生が在籍することで、学校自体がグローバルな環境になる。そして、「日本」ならではの人格形成教育を行なう。国際貢献専門大学校は、人種や国籍にこだわらない「真の国際人」を輩出する、大いなる可能性を秘めていると言える。

｜　（後）　≫

＜COMPANY INFORMATION＞
学園総長：宮田　道郎
理事長：宮田　智栄
所在地：福岡市南区塩原4-17-17
設　立：1992年１月
ＴＥＬ：092-541-8450
ＵＲＬ：http://www.niei.jp/

※記事へのご意見はこちら