＜「栄養と運動」を前提条件にした"トクホ"！＞
　――日本のサプリメント（健康食品）市場は、現在、２兆円近い規模と言われています。そして、50代から70代でその約65％を占めています。薬との関係や食生活の観点からコメントを頂けますか。

　田川　私は幸いにして、医師、栄養学、サプリメント（健康食品）も含めて体験しているので、どこにも偏らずにシームレスに考えることができます。「死ぬまで健常者」を栄養学の立場から、薬を使わず実現することを唯一の命題と考えています。

　一般的には、自分の所属する組織を背景にして考えるでしょう。例えば、薬のところでよく考えているのが医師です。薬は、個人負担はもちろん、国の財政にも大きな影響を及ぼします。服用し続ければ、副作用もあり、悪い面も出てきます。一方、サプリメントは薬と比べれば少ないと思いますが、副作用を生じるケースもあります。何よりも、人の健康に寄与しているというエビデンスが不足しています。

　私は食生活を補う意味で、サプリメント（健康食品）も大事な役目を持っていると思います。しかし、現在の日本には健康食品やサプリメントの明確な行政定義がありません。関連法規もありません。さらに、保健機能食品（特定保健用食品＋栄養機能食品）を含めて、いわゆるサプリメント（健康食品）に対して、国民の知識、見識も不足しています。

　日本人はトクホ（特定保健用食品）が良いとわかると、究極的にはトクホさえとっていれば大丈夫と勘違いする傾向があります。健康食品はあくまでも、栄養補助食品です。正しい栄養と運動を保ちながらそれを補う形で摂取するものなのです。この基本を忘れてはいけません。取り過ぎれば害もあります。ベースに正しい食生活があってのトクホなのです。

　――自民党が政権公約のなかで「統合医療」について言及しています。この点に関して、先生のご意見は如何ですか。

　田川　統合医療はとても広い概念です。いわゆる西洋医学と東洋医学の周辺のすべてのことが含まれます。
　ここでは、今までの流れにそって、いわゆる製薬以外のサプリメント（健康食品）、食生活に関してお答えします。

　あくまでも、トクホを含めて、正しい食生活を補う意味での補助食品としては、サプリメント（健康食品）の利用は良いと思います。例えば摂取が不足している成分を有している魚や野菜を大量に食べられない場合は、その補助として大きな効果が期待できます。

　病院に行かなければならない、薬を飲み続けなければならないという状態は、精神的に苦痛を与えますし、お金もかかります。薬をいわゆるサプリメント（健康食品）に変えれば、医療機関には行く必要はなくなりますが、服用し続けなければならないし、お金がかかることには変わりがありません。栄養学を参考に食生活を改善し、病気を治癒させることができれば、医療機関に行く必要もなく、薬も服用する必要もありません。医療費もかからず、継続も容易なのです。国民の為の統合医療は、この考え方が基本になくてはいけません。

　国民にとって、利益となる統合医療であれば、賛成できると思いますが、どのように進められていくのか注視する必要があると思います。

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