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月収30万でも募集無し~地に落ちた職人のイメージ
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2013年1月22日 10:44

 躯体系の専門工事業者を中心に、人手不足が叫ばれる建設業界。人手不足の波は、仕上げ系の業者にも及んでいるようだ。

 福岡でも屈指の防水・塗装業者では、先日、月給30万円で職人(正社員)を募集。当該企業は、高い技術力で知られ、財務体質も固い。スーパーゼネコンとも取引のある地元でも指折りの塗装・防水業者からの募集であったにもかかわらず、応募は0(ゼロ)であったと言う。他業種であれば、月給20万前後でも引く手あまたの買い手市場(雇用市場)のなか、これだけの待遇を示しても引き合いが全く無いのは異常事態といえよう。

 国土交通省の資料によると、20年前と比べ、高卒者の建設業界への入職率は60%もの減少となっている。理由の一端は、建設投資額の減少における仕事量の減少と、これに伴う職人の収入減少にあることは間違いない。これに加え、先の高待遇でも応募が無かった事例に照らせば、若者の建設業界に対するイメージは地に落ちていると言わざるをえない。

 専門工事業者の地位向上を長らく訴えてきた業界の重鎮は、「ここは工場労働のように人を歯車としない業界ですし、なにより物を作る喜びを感じて欲しい」と前置きしながら、「ただ、危険な建設現場での作業である以上、3Kと言われることは避けられないかもしれません」と語る。そのうえで、「給料や社会保険といった待遇改善で職人の努力に報いること無しに、イメージ改善はありえません」と話してくれた。

 先に挙げた高待遇は、個別の企業が発した「建設業界に振り向いて欲しい」という若者へのメッセージと受け止めることができる。では、ゼネコンを頂点とした建設業界全体は、若者に対して何を提示し、いかなる魅力をアピールできるのであろうか。

 政権交代によって建設予算を振りまいても、職人がいなければ建物は建たず、予算を消化することもできない。折りしも社会保険料のゼネコン負担が問題となる情勢下、「そもそも、職人がいなくて困るのは誰か」という根本的な問題意識が、ゼネコンと行政に求められている。

【田口 芳州】


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