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脱原発・新エネルギー

LEDの技術革新がエネルギーの未来を変える~上内電気・境泰二郎社長(後)
脱原発・新エネルギー
2013年1月22日 07:00

<消費電力の大幅削減が可能>
led.jpg 昨年の3月、東京大学の大津元一教授らの研究チームが、シリコン製のLEDを開発。従来の素材である窒化ガリウムに比べ、3倍の明るさになり、素材のコストも約40分1に抑えることができることを示した。6月には、豊田合成が、体育館など広い屋内での照明にも使いやすい次世代LEDの試作に成功。それまで主流だったサファイア基板を窒化ガリウム基板に替え、3倍の明るさを実現した。三菱ケミカルなどが、窒化ガリウム基板でのLED照明を製品化し、発光効率がよく、照明用での需要は伸びている。

 簡単なことではないだろうが、これらの素材、技術を応用すれば、その効率に掛け算が成立するという。境社長は「机上の理論で言えば、明るさが3倍×3倍で、9倍の効率になる。あくまで理論上だが、消費電力を約9分の1にできる。技術はすでに足りている」と話しており、実用化できれば、エネルギー効率はさらに上がることになる。

<"高効率"志向の社会に>
 経済発展とともに大量に消費する時代は20世紀まで。21世紀は、より高効率を重視し、志向する時代に向かうべきである。石油や石炭を大量に使ってエネルギーを作り、効率を考えずに消費する時代は、すでに終わった。

 「人類の叡智を集めれば、LEDは100分の1までコストを落とすことも可能だと思っている。効率を上げて、消費電力を減らすんですよ」と、境社長は語る。電力などのエネルギーは人間が生きていく上で必要不可欠だが、使わなくてもいいものまで作り、無駄に消費してはもったいない。照明の分野だけでなく、テレビやエアコンでも効率が上がれば、消費電力はもっと減らせる。いくら技術が進歩しても、100%理想通りにはならないだろうが、技術によって消費電力を減らし、「本当に必要な分だけ」を作り、使うのが理想。境社長は「技術が進めば、再生可能エネルギーだけでやっていくこともできるのではないか。人類は、われわれの後も、1,000年、1万年と続く。今いる世代だけで、石油や石炭を掘り上げてしまって未来の人類はどうするのか。ゆくゆくは、火力発電もいらん、原子力発電もいらなくようになるように、そのための"走り"をしにいきよる」と話す。インターネット、携帯電話が生活様式を変えたように、LEDが、エネルギーの未来を変える可能性は十分に秘めている。

(了)
【岩下 昌弘】

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