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コダマの核心

自立・持続組織シリーズ(1)~韓国で静かな市民革命
コダマの核心
2013年1月22日 10:15

国民自ら石油を手に入れる動き、韓国で活発に。
 
<韓国の不当に高いガソリン代>
 筆者は常々、"エネルギーと食は自国でできる限り生産していくべきだ"という持論を展開してきた。両者を他国に依存するということは、生殺与奪権を他国に牛耳られることに他ならないからである。また、必要なものを他国に頼るということは、自国の富が提供国に言い値で移ってしまうということになる。経済的にも自主独立が実現できなくなってしまう点も熟慮しなくてはならない。
日本国内では、今ようやく再生可能エネルギーと省エネに真剣に取り組む姿勢が見え始めてきた。時代の息吹には、早い時期にエネルギーの半自給自足が実現できるのではないかと夢を見てしまうほどの迫力がある。筆者はこれが日本浮沈の分水嶺になるものと期待をしている。

 さて、海を渡って韓国。こちらのエネルギー事情は日本以上に深刻さを増している。ガソリンがとにかく高いのだ。移動手段として化石燃料を使う自動車が主流である現在、ガソリン価格は生活の根幹をなす要素のひとつといえる。その価格がべらぼうに高い。昨年4月、英エコノミスト誌に掲載された試算(各国のGDPと価格をもとに算出)によると、韓国のガソリン価格は1Lあたり182円。これは欧州平均の2倍、日本の1.14倍に相当するという。
 韓国では石油元売業者がSK、GS、Sオイル、ヒュンダイの4社で9割を占めており、また、政府の税金も高い。ちなみに税金はガソリン価格の半分弱を占めている(同エコノミスト誌。韓国の税金は欧州平均の1.76倍、日本の1.33倍)。石油が高騰しているのをいいことに、国民は搾取を受けている!と、とうとう市民たちが怒りの声を上げ始めたのである。

<黙っていない韓国国民の民度は高い>
_0121.jpg まず、市民たちは2007年、税金の引き下げ、石油価格を抑えるための政策の導入を要請した。石油各社は世間の声を反映して、少しばかり値下げに踏み切ったが、それでも騒ぎが沈静化すると価格は再び上げられた。値段は再び上がるばかり。業を煮やした市民たちは今年、大手寡占の石油業界に殴り込みをかける決意をした。国民による石油会社の設立である。
 消費者が自ら石油を販売することで2割価格を抑える。この旗印のもと「国民石油会社」の設立に向けて市民が自らの手で会社設立に乗り出したのだ。まずは出資者を募り、資本金を集めなくてはならない。目標金額は5,000億ウォン(約400億円)。賛同する個人や企業から出資をしてもらい、同時に顧客になってもらう狙いだ。現在、集めたお金は1,000億円を突破し、賛同者数も10万名を数えるほどになっているという。お金と顧客が集まったら、政府に内諾を促し国民石油会社の設立を認めさせる。それが通れば、晴れて消費者自らの手によるガソリンの販売が行なわれることになるのである。

 韓国では、閉塞感を自ら打開すべく具体的な動きが出始めているのである。大手寡占による惨状を、自らの手で納得のいく形に是正しようというのだ。一人ひとりの力は小さいかも知れないが、束ねることができれば国をも動かす大きな力になる。韓国国民生活石油会社は静かな市民革命のように、筆者の目には映る。ぜひ成功してほしいと思う。日本人もそのような姿勢を見習ってしてほしいと願わずにはいられない。

【児玉 直】

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