九州電力の電気料金値上げ認可申請について、消費者庁は1月21日、消費者目線で申請内容を検証するために、消費者との意見交換会を福岡市で開催した。
北九州市消費者団体連絡会の木村和利事務局長(50)ら7人が意見を述べ、全員が原発再稼動に反対の立場を示した。「原発再稼動を前提にした値上げは認められない」「原発を廃炉にしないと、問題を将来に先送りするだけだ」「値上げには、原発再稼動の狙いが見えて仕方がない」などと値上げに反対した。
九州電力の電気料金値上げについて、消費者基本法の基本理念が「安全である権利は商品の製造過程を含む」と定めているとして、「原子力発電の安全性は担保されているのか、使用済み核廃棄物はどうするのか」と問題を提起し、「2030年に原発ゼロが国民の意見だ」と指摘する声もあった。
消費者庁からは阿南久長官が出席し、「九州電力への疑問、指摘がありましたので、1つ1つ全部、回答を求めたい」と答えた。阿南長官は、3・11福島原発事故によって、「原発は安くて安全でクリーンなエネルギー」として推進されてきたのが、そうではなかったと指摘されている現状に触れて、「消費者はエネルギー事業にもっと自分たちの意見を言うべきだと痛切に感じた」と述べた。
出席した草桶左信審議官も、「狭い意味での料金審査に当てはまらない部分もあったが、その点もお示ししないと、(消費者の)みなさんの理解を得られないし、国民的な課題なので全体で考えないといけないと思う。いただいた意見を参考にしながら、(九電に)情報を求めていく」と発言した。
7人の意見では、「佐賀で値上げについて説明会を求めたが、九州電力は応じなかった。情報開示と説明責任があるはずだ」と指摘する声もあがった。「役員報酬削減幅が少ない」「(値上げの原因という)燃料費を引き下げる努力をしたのか」「核燃料再処理サイクルは高コスト」など、値上げの根拠をただす意見も相次いだ。
阿南長官は「電気料金に対し消費者参加の仕組みがおろそかにされてきた」との認識を示し、「消費者が納得できるように、(九電には)説明責任がある」「みずから積極的に情報を開示して理解してもらう企業姿勢が必要だ」と述べた。消費者庁として、九州電力に情報開示と説明責任を求めていく考えだ。
消費者庁は今後、消費者基本法の理念を踏まえて、申請内容に対するチェックポイントを作成・公表し、2月中には経済産業省と協議する。1月31日には、経産省が福岡市で公聴会を開く。
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