熊本県南部の球磨郡に拠点をおき、生コンクリート事業、建設業を中心とする味岡グループ。同グループ17社の代表である味岡和國氏は、自社はもとより、全国レベルで生コンクリート業界を牽引している。今年に入ってからは、3年間活動を休止していた熊本中央生コンクリート協同組合を再編し、熊本地区生コンクリート協同組合として再スタートさせた。
<異常なダンピング価格>
2013年1月1日、熊本市(南区城南町、富合町は除く)と周辺市町村(合志市、大津町、嘉島町、御船町、益城町、甲佐町、菊陽町、西原村)の生コン製造会社17社22工場が、熊本地区生コンクリート協同組合を再スタートさせた。同協組の理事長・味岡和國氏は、組織トップへの就任を固辞していたが、組合青年部会のメンバー、いわゆる各社の後継者を同組合の理事に就任させることを条件に受託。21名の理事には青年部会のメンバー8名が名を連ね、専務理事や営業・技術といった各委員会の正副委員長に就任している。味岡代表は、「私を含め、各社の経営者が世代交代の時期にあることは事実です。すでに承継している企業もあります。自社もこの組合も、次世代へ引き継いで永続させていくためです」と、語る。
熊本市内の生コン価格は、過当競争によって、日本で2番目に低い1m3あたり6,150~6,300円という原価割れの価格で販売されていた。(全国の最安値は、大分市で直近1m3あたり5,500円。一時期は4,000円台の販売もあった)原価割れでは商売できないことは言うまでもない。「我が工場の事さえよければという考えが蔓延してしまった。原材料費の支払いを棚上げしてまで乱売に走っていたのです。こんなことが続いたら、生コン工場も破綻し、業界自体の信頼が失墜してしまうという危機感が一層強くなりました」と、味岡代表は話す。
<適正な市場価格へ>
再スタートした同協組は、価格の正常・適正化を課題としている。1m3あたり6,150~6,300円であった価格を、建築では1m3あたり1万3,000円、土木では1m3あたり1万2,800円で販売すると表明している。これまでの実に2倍以上となるが、1万3,000円前後の価格は全国の生コンクリートの適正価格である1m3あたり1万4,000~1万5,000円よりも安い。地区や工場数および出荷量によって価格が異なってくるので断定できないが、生コン工場が健全な経営を行なえる価格なのである。
しかしながら、全国の生コンクリート協同組合の過半数以上が適正価格を保持できていないという。味岡代表は、「1万3,000円は、われわれ製造側が過剰な儲けを設定しているものではありません。むしろ採算性を吟味し、算出したギリギリの価格です。主要原材料のセメント、骨材の高騰と輸送費の増大が今後も予想されます。施工・設計側にもこの事由は、理解して貰うしかありません」と、見解を述べている。現在、自治体などの発注側、施工・設計側はまだ容認しておらず価格の交渉が続いている。
| (後) ≫
※記事へのご意見はこちら