＜新ビジネスモデルの立ち上げ、「マルチコプター事業部」＞
　2012年、同社は「マルチコプター事業部」を新たに立ちあげた。これは、GPSによる自動操縦機能を備えたカメラ付きラジコンヘリコプター（マルチコプター）を飛ばし、マンションの階層ごとの風景が360度、静止画はもちろん動画も撮れるのが特徴のビジネスモデルだ。大きさは約80cm四方で、操縦機と遠隔操作カメラがあり手元のモニターでリアルチェックしながら空撮する。「これまで、未完成のマンションでお客さまがご購入されたい階の部屋からの風景を撮影するには、わざわざクレーン車を借りてくる必要がありました。それでは静止画だけとなり、またクレーンの届かない高階層の風景は撮影できないという問題点もありました」（三明社長）。

　７年前からラジコンヘリを趣味にしていたという三明社長には、もともと子どものころから憧れがあった。「私が小さい頃、隣の家に住んでいた自衛隊の人がラジコンヘリを飛ばしていたのを見て、『いつか僕もやってみたいな』とずっと思っていました」（三明社長）。ラジコンヘリを組み立てること、マンションを建築すること、この２つは『モノづくり』という点で共通しており、そこには『モノの構造と品質』にこだわる三明社長のポリシーが貫かれている。
　三明社長が知る限り、「同じような事業を手がけているのは現在、全国でも東北と福岡の２社だけ」というマルチコプター事業。そもそもビジネスという観点でハードルがあった。「高い操縦技術が必要ですし、GPSによる自動操縦とはいっても誤差が生じるので、そこは操縦者の感覚と技術で補完しなければいけません」（三明社長）。

　全国各地の「フライヤー」と呼ばれる、ラジコン検定に合格した有資格者のヘリを飛ばす技能者が、同社独自のネットワークで協力者となっている。これにより、全国対応の空撮が可能となった。また、三明社長および同社社員も12年８月に「第３級陸上特殊無線技士」のライセンスを取得。電波法にもきちんと対応している。
　マルチコプターの利点は、好みの階層風景が空撮できるということ以外にもいくつかある。同社はゴルフ場のコースを空撮する事業も視野に入れているが、これまでは通常、実機のヘリコプターをチャーターし撮影していた。しかし、それでは時間もコストも大きく要する。マルチコプターなら、いつでもどこでも容易に飛ばせるうえコストも大幅に削減可能だ。三明社長は「撮影費用は実機の約半分を目標にしています」と語る。同社はプロゴルファー・片山晋呉氏のスポンサーでもあるが、「プロゴルファーは打球の正確な弾道のデータを欲しがっています。マルチコプターならそれも撮影可能です」（三明社長）。

　ほかに導入を考えているのが工事現場。また既存の橋ゲタのチェックなど、『人の目が行き届かないところのサービス』ができる。また、官公庁に対しては観光地の風景などを動画で撮影することによるPR商材の提案していく考えだ。

　これからマルチコプターが空を飛ぶように、新事業そして同社自身がさらに高く羽ばたくのが期待される。

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＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）サンアクア
代　表：三明　宏一
所在地：福岡市博多区中洲5-3-8 アクア博多6F
設　立：2008年12月
資本金：900万円
ＴＥＬ：092-283-2110
ＵＲＬ：http://www.sun-aqua.jp/

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