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【特集・飯塚】アジア、そして世界を目指す医工学連携~飯塚病院・鮎川勝彦副院長(1)
自立する地域社会
2013年1月25日 07:00

 全国平均を大きく上回る病床数や地域での病院間ネットワークなど、「医療のまち」としての可能性を秘めている飯塚市。市内の病院のなかでも、もっとも多い病床を有し医療設備が充実している飯塚病院は、2011年12月、市や九州工業大学とともに「医工学連携の協力推進に関する協定」を締結。「医療のまち」としての現状や医工学連携の今後について、飯塚病院副院長の鮎川勝彦氏に話を聞いた。(聞き手:大根田 康介)

<シリコンバレーに見る医療機器産業へのシフト>
 ――飯塚病院はこの地域の中心地にあって、人が集まる環境にあります。病院運営と「まちづくり」の関わりも大きいと思いますが、それと医工学連携の関連性について、病院の立場からどのようにお考えでしょうか。

ayukawa.jpg 鮎川 飯塚で新しい産業を興す場合、九州工業大学さんがすでに医療機器開発に取り組んでいますし、あとは治療法の開発などを含めて、ここから医療のイノベーションを起こしていきたいですね。というより、起こしていかなければならないと考えています。

 今回の医工学連携のように、行政・大学・病院の3者間の関係性を築いていくことで、その可能性が大きくなりました。医療関連産業が振興すれば、地域の方々も最先端の治療を受けることができます。かつ地域活性化にもつながります。今回の連携は飯塚市にとっても大きなチャンスであると考えています。

 ――今まで連携といったかたちをとっていなかったのは、なぜでしょうか。

 鮎川 まず、日本全体で医療機器開発自体が盛んではなかったことが挙げられます。最近でこそ"イノベーション"と言われ始めていますが、国が医療のイノベーションを目指していなかったことが大きいでしょう。その原因の1つに、アメリカとの貿易均衡が考えられます。アメリカから医療機器を輸入する代わりに、日本からは自動車を売り込む構図になっていました。しかし、今は自動車産業も対米輸出が低調ですし、かつ日本の医療レベルとモノづくりのレベルはアメリカを凌駕してもおかしくない水準にあります。

 貿易不均衡を是正するための動きをしていくべきだという時代になれば、新しい機器を開発して最先端医療を日本の方たちに提供し、それを世界に売り出すという状況が生まれてくるでしょう。日本はますます高齢化していきます。労働人口は明らかに減っていきます。年令を重ねてからも働くためには、それをサポートする医療介護機器も必要になるでしょうし、産業振興も必要です。これに関しては、国も動き出そうとしていますし、大学や我々も動いていくべきだと考えています。

 アメリカのシリコンバレーも、今はIT業界が華やかですが、最近では医療機器産業にシフトしようという動きが見え、実は医療機器ベンチャーも増えてきています。日本でベンチャーが育つかどうかは、ほかの要因も関係してきますが、日本も同じようにモノはつくれるはずです。環境整備さえすれば、医療機器関連の産業も育つはずですし、患者さんを含めた地域住民の皆さんにも十分還元できます。

(つづく)
【文・構成:永上 隼人】

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<プロフィール>
ayukawa_pr.jpg鮎川 勝彦(あゆかわ・かつひこ)
鹿児島県生まれ。1981年九州大学医学部卒業後、九州大学附属病院救急部入局。九州大学附属病院救急部・麻酔科・集中治療部に17年勤務。98年、(株)麻生飯塚病院救急部部長、集中治療室室長就任を経て、99年、同院救命救急センター所長、06年副院長に就任した。07年経営担当副院長、12年より医工連携担当副院長を兼務している。この間救急搬送患者情報伝達システムIT化を推し進めてきた。


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