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自立する地域社会

地域活性化の理想的なかたちとは?(3)
自立する地域社会
2013年1月25日 07:00

<復興のモデル都市に――宮城県>
 「被災したすべての自治体の今後のテーマは、震災を風化させないこと」と、宮城県東京事務所の企業立地・観光物産の担当者は語る。「被災の状況を見たいけど、申し訳ないという人もいる。ぜひ見てもらって、ほかの県の方と交流して励まされる被災者もいる」。

miyagi.jpg 震災直後には、全国、世界から支援の輪が広がったが、すでに2年が経とうとしている昨今。被災県には「風化」を恐れる声もある。東京都の豊島区池袋にある宮城県のアンテナショップでは宮城県名産の牛タン、地酒などを売り、県の魅力を発信しているが、震災後は、東北の応援で売り上げが伸びた。しかし、今は、震災以前の売り上げに戻りつつある。風化防止のための取り組みも始めており、震災と防災意識を語り継ぐために、ボランティアガイドや語り部が県内で活動している。

 宮城県では、復興への段階を2011年度~13年度を「復旧期」、その後の4年を「再生期」、その後の3年を「発展期」と位置づけ、11年度から20年度までの計10年間を計画期間としている。「計画通りには進んでいる」が、人員不足や建築資材の高騰などの要因もあり、まだ復興が被災者の"実感"となるまでには至っていない。

<被災地の実感なくして日本の実感なし>
 宮城県では、建設業など復興需要はある。それに伴い、求人も増えているが、必ずしも多くの人が、震災前の仕事ややりがいを感じられる仕事に就けているわけではない。たとえば、気仙沼では、震災前に水産加工業をやっていた人で、その仕事をまたやりたいという人は多く、職のマッチングが、実感を伴う復興への課題となっている。雇用の数を増やすとともに、地場産業を復興させ、多くの人が、職業にやりがいを持てることが大切で、職のマッチングも地域の活性化にとって大事な要素の1つだ。

 津波の被害が大きかった気仙沼などでは、土地のかさ上げをしてからでないと建物を建てられない。県の担当者は、「ガレキを払って更地にはなっていますが、かさ上げができていないので、まだ建物がない。被災地に住む人たちの実感として、まだ復興が目に見える形にはなっていない」と語る。

 安倍政権の打ち出すアベノミクスでは、デフレ・円高脱却を目標に掲げている。円安からの株高が企業の好業績につながり、家計にまで届き、消費意欲を高め、給料が上がり、いつ国民全体の好況の"実感"におよぶのかというのが1つのポイント。だが、日本再生の象徴ともいえる被災地の復興こそ急がなければならない。日本の経済再生は、被災地が復興を"実感"することから始まるのではないか。
 人員不足の課題もあるだろうが、復興予算の無駄遣いなどロスがないよう、安倍政権、復興庁は、被災地の目線に立ち、最短距離で復興に向かうため全力を注ぐのが務めだ。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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