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【特集・飯塚】アジア、そして世界を目指す医工学連携~飯塚病院・鮎川勝彦副院長(2)
自立する地域社会
2013年1月26日 07:00

 全国平均を大きく上回る病床数や地域での病院間ネットワークなど、「医療のまち」としての可能性を秘めている飯塚市。市内の病院のなかでも、もっとも多い病床を有し医療設備が充実している飯塚病院は、2011年12月、市や九州工業大学とともに「医工学連携の協力推進に関する協定」を締結。「医療のまち」としての現状や医工学連携の今後について、飯塚病院副院長の鮎川勝彦氏に話を聞いた。(聞き手:大根田 康介)

<さまざまなアイデアを開発・製品化に>
 ――九州工業大学出身の医療関連ベンチャーも多く起業していると聞きますが、飯塚市には医工学連携の素地があったようですね。

 鮎川 そうですね。今までは、それらの企業活動の関連性が細い"線"だったのが、医工学連携をきっかけにそれが太くなっていき、"面"になっていくことを期待しています。私は飯塚市、九州工業大学と連携事業の話し合いの場に、飯塚病院の窓口として参加していますが、機器開発では臨床試験が必要になってきます。現場のニーズも必要ですし、そのニーズは病院が握っています。そして、実際にアイデアをのせていくのも、医師を含めた病院従業者です。私は、そのニーズとシーズとを組み合わせていく際の、病院のまとめ役となっています。さまざまなアイデアが病院内から出ますので、それを機器開発に結びつけていくのも私の役割です。2011年9月に、九州工業大学の教授や病院の医師とともにシリコンバレーへ視察に行きました。

ayukawa.jpg シリコンバレーの中心にあるスタンフォード大学は、起業家育成に積極的です。周辺にはベンチャー企業が集積しています。大学の医学部と工学部の間にクラークセンターというものがあり、そこでは医療機器開発のベンチャーを1~2年間で育成する「バイオデザイン」のコースがあります。我々が9月に訪れた際、そのコース出身者らからのプレゼンテーションをいくつか聞かせていただきました。

 会社をつくって製品化するというスキームを凝縮した実学的なコースで、医師や工学博士、法律家がチームを組んで、数カ月病院に入り、ニーズを可能な限り拾い集めて製品になりそうなアイデアを100~200出していきます。もちろん、資金集めに関する計画も立てていきます。

 そのなかには経験豊富なメンターもたくさんいますので、精度の高い指導を受けることができます。多くの学生はそこで経験を積み、卒業するころにはベンチャーを立ち上げています。数多くのベンチャー企業が設立されますが、そこで成功し大企業になるのはほんの一握りです。ただし、他の業界から見れば非常に高い確率で成功、医療機器の製品化に至っています。

 ただ、同コース出身者といえども、すぐに製品化できるというわけではありません。その一部の製品化を引き受けているのが、バルーンカテーテル開発で著名なフォガティ博士による「フォガティ・インスティチュート」です。ここでは、エルカミーノ病院という地域の病院に入って、ニーズを拾いながら製品をつくる手伝いを行なっています。ほかにも、心臓血管外科を中心とした別の方法で医療機器を開発している「テキサスメディカルセンター」のメソディスト病院も視察してきました。

(つづく)
【文・構成:永上 隼人】

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<プロフィール>
ayukawa_pr.jpg鮎川 勝彦(あゆかわ・かつひこ)
鹿児島県生まれ。1981年九州大学医学部卒業後、九州大学附属病院救急部入局。九州大学附属病院救急部・麻酔科・集中治療部に17年勤務。98年、(株)麻生飯塚病院救急部部長、集中治療室室長就任を経て、99年、同院救命救急センター所長、06年副院長に就任した。07年経営担当副院長、12年より医工連携担当副院長を兼務している。この間救急搬送患者情報伝達システムIT化を推し進めてきた。


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