先日、ある住宅設備の展示会で電気自動車を見学してきた。住宅設備で電気自動車?なんだかおかしな気分になるが、時代は動いている、ということなのだろう。電気自動車のバッテリーを使い、万が一の停電に備える、という考え方がこれからのスマートな住宅のあり方なのだ。展示されていたのは2車種。三菱のi-MiEVと日産リーフである。
三菱のほうは軽自動車のiをベースにして、ガソリンエンジンの代わりにモーターとバッテリーが仕込まれている。規格も軽自動車にのっとっており、車検証の上でも「軽自動車」として取り扱われるとのこと。ただし、重量は軽自動車とは言い切れない。ガソリンで動くiは乾燥重量850キロほどだが、i-MiEVの場合は1tを超える。コンパクトカークラスの重量。その原因はバッテリーにあるという。フロアに敷き詰められたバッテリーが重いために、車重がかさんでしまうのだそうだ。それでも、満充電で180km走ることができるという(GグレードのJC08モード。Mグレードの場合は120km)。夜間の電力を使えば電費(電気自動車の場合は従来の自動車でいう燃費をこう表現するらしい)を低く抑えることも可能だという。
日産リーフは普通車だ。もはや、軽だとか普通車だとか言っていることに、あまり意味を感じないが、とりあえず普通車なのだそうだ。i-MiEVに比べると車体は大きい。キャビンも広くとってあり、デザインもいやみのない高級感を感じさせてくれる。車両重量は1t半くらいだ。街乗りならiを、遠乗りするのならばリーフを、という声が多く聞かれるというのは三菱のスタッフの声だ。実際、遠乗りに向くような居住性の高さを感じさせる。こちらも家庭用電源で充電し、乗ることができる。こちらの航続距離は228km(JC08モード)。すばらしい数値だ。
走行時に二酸化炭素などの大気汚染物質を出さないために地球にも優しい点、また、優遇税制や補助金が受けられる点は共通した強みである。
しかし、果たしてこれは普及するのだろうか。三菱i-MiEVはMグレードで260万円(同車は2つのグレードが用意されており、より高いグレードであるGグレードの場合は380万円)。補助金を考慮に入れて、70~80万円の減額が受けられたとしても180~190万円だ。デザインがほぼ同じガソリン車のiならば122万円から購入することができる。補助金なしの値段260万円という数字は、三菱自動車でいえばミニバンであるデリカD3を超える。SUVでいえばRVRローデストに匹敵する価格だ。i-MiEVのGグレードならばランサーエボリューションⅩの低いグレードを超える。つまり高いのだ。
同じことがリーフにも言える。もっとも安価なSグレードがメーカー希望小売価格334万9,500円。もっとも高いGグレードは400万円を超える。ちょっとした高級車の価格である。やはり高いのである。
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