<老舗映画館「中洲大洋」から派生したビデオ事業>
大洋グループは現在、大洋(株)、(株)ティーアンドイー、(有)幸洋開発、(有)岡部、大洋シナジー(株)と関連会社の(株)大洋映画劇場の6社からなる、総合映像事業を手がける企業体である。
戦後間もない1946年4月3日、福岡市中心部の中洲に1,000席を有する洋画専門館「大洋映画劇場」がオープンした。建築業を営んでいた岡部重蔵氏の「戦争に負けてみんな意気消沈している。焼け野原となった博多の地に娯楽施設をつくり、市民に元気になってほしい」という想いが、当時36人の地権者の心を動かした。
チャップリンの『黄金狂時代』を皮切りに、同劇場の運営は軌道に乗り始めた。博多の復興、映画全盛時代の到来とともに、中洲でも映画館の数が増えていった。その後、キャナルシティ博多開業(96年)や福岡玉屋の閉店(99年)などで博多・中洲の人の流れが大きく変化するなか、同劇場は99年、すべてのスクリーン名を「中洲大洋」として統一し、現在も多くの市民に身近な映画館として慕われている。
そんな大洋映画劇場に、1970年7月、ビデオ事業部として創業したのが現在の大洋グループの始まりである。重蔵氏が「これからは映画を家で見る時代がくる」という先見の明をもって、東京でサラリーマンをしていた子息で現会長の重幸氏を呼び戻し、ビデオ事業部の責任者に任命した。
当時はビデオデッキが各家庭に1台あったわけではなく、レンタルショップなども存在していなかったため、需要はホテルや旅館に限られていた。そのため、各部屋でビデオを見られるようにする工事を手がけ、また日本舞踊などの発表会や結婚式の撮影なども行なっていた。
VHSが普及し出すのと歩調を合わせて、77年9月、九州東映ビデオ販売(株)(現・大洋シナジー)を設立。79年6月、(株)大洋ビデオを設立し、重幸氏をトップとしてビデオ事業が本格化した。その後、映像をつくるのに特化したティーアンドイー、ホテルでの映像視聴環境を整える大洋などの子会社ができ、グループを形成していった。
<事業承継に至る経緯と父と子の想い>
2011年12月、重幸氏からバトンを受け同グループの代表となった子息の岡部知寛氏は、76年生まれの36歳。97年、愛知大学現代中国学部に入学し、2000年、台湾国立政治大学に留学した。「アジアを見た場合、中華圏の影響力が強く、中国のことを知っておかなければ、これからのアジアは語れないと思い大学を選びました」(岡部代表)。
就職先も悩んだ。「最初は、やはり人もモノも集まる東京かなと思っていました。しかし、都市としての限界も感じていました。故郷の福岡に帰ってきたとき、やっぱりここだなと思いました。福岡は中小企業が多く、人のネットワークが必要です。そのため、いろいろな人たちとビジネスができる仕事を探していたら、広告代理店がさまざまな業種と接することができるとわかりました」と語る岡部代表は、03年4月(株)電通九州に入社した。
3年ほど経ったのち、東京への出向を命じられた。「東京と福岡のパイプ役になるよう話がありました。これを受けると会社を辞められないなと思いました。それまで父(重幸氏)とは事業承継の話をしたことはありませんでしたが、東京行きのことを父に相談すると『無理に継げとは言わないが、これから会社をどうするか決めないといけないから、意志表明だけはきちんとしてほしい』と言われました」と葛藤を明かした岡部代表は、「自分がやる」と決意した。08年6月、電通九州を退社し、同年11月大洋グループに取締役社長室長として入社。09年5月、ティーアンドイー常務取締役を経て現職に就いた。
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<COMPANY INFORMATION>
■大洋グループ
代 表:岡部 知寛
所在地:福岡市中央区清川2-12-6
創 業:1970年7月
資本金:4,920万円(グループ)
TEL:092-524-5165
URL:http://www.taiyogroup.co.jp/
<代表者 Profile>
岡部 知寛(おかべ・ともひろ)
1976年10月生まれ。福岡市出身。97年4月愛知大学現代中国学部入学後、2000年5月より台湾国立政治大学に1年半留学。卒業後、03年4月に(株)電通九州入社。08年6月同社を退社し、11月大洋グループに取締役室長として入社。09年5月(株)ティーアンドイー常務取締役を経て、11年12月大洋グループ代表に就いた。同年5月には九州・アジア経営塾を7期生として卒塾。また九州経済フォーラム常務理事なども務める。
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発行人:児玉 直
取材・編集:(株)データ・マックス
発行所:(株)データ・マックス
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<ご購入申し込み先>
(株)データ・マックス
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