＜区民１人のコストは約220円＞
　福岡市のPR事業「福岡市カワイイ区」の広告換算価値は約２億8,000万円。同市広報戦略室顧問である後山泰一氏（（株）ファクト代表）が、１月31日に（財）九州経済調査協会が主催したセミナーで同事業の内容などについて説明した。昨年８月からスタートした同PR事業は、人気アイドルグループ「AKB48」の篠田麻里子さんをイメージキャラクター（初代区長）に採用し、企業や各種イベントのタイアップなどを実施。区民登録は、公式サイトにおいてメールアドレスのみで無料登録でき、登録するとタイアップしたイベントなどの情報がメルマガで配信される。

　「福岡の人が思っている以上に、（全国的な）福岡の認知度は低い。首都圏を含めた福岡の認知度調査を行なった結果、首都圏で福岡の場所を正確に指せた人は約30％だった。これを踏まえ、覚えられていないこと前提にしたシティプロモーションを行なうこととなった」（後山氏）。
　後山氏の説明によると、限られた予算を有効に使うため、より福岡のことを知ってもらいたい人が多いとする東京で記者発表を行ない、結果、報道などによる広告換算価値を調査したところ約２億8,000万円だったという。現在の区民登録は目標の１万人を上回り、２月１日現在で４万1,559人、フェイスブック同区公式ページの「いいね！」は、約１万5,000人となっている。

　予算の使い方については、１件の注文を獲得するためにかかった費用を示すCPO（コストパーオーダー）の考え方を導入。福岡市では、行政メルマガ登録１件に１万円かけており、その場合CPOは１万円。CPOは、通販で2,000円、無料ゲームで600円～800円という。「カワイイ区」の場合、1,000万円の予算で４万人の区民登録しており、CPO換算すると約220円。後山氏は、「予算を有効に使っている」と語った。なお、「カワイイ区」の公式サイトには、区役所ホームページと同じデザインを採用しているなど、細かい部分まで徹底的に行なっているという。

＜フォロワー数が市人口に匹敵する区長＞
　同PR事業の宣伝効果にはまだ〝伸びしろ〟がある。
　「区長もつぶやきます！」という「カワイイ区公式ツイッター」で、篠田さんが「カワイイ区」について投稿したとして紹介されているのは、12年８月29日の１回のみ。同日は、「カワイイ区」の区民（登録者）が１万人を突破しており、篠田さんは「早いなぁーありがたいな～♪ 住み心地はいかがですかー？（笑）」などとつぶやいていた。
　ツイッターにおける篠田さん自身の公式アカウントのフォロワー数は福岡市の人口に匹敵する約148万人（カワイイ区のフォロワー数は約8,100人）である。区長の活動次第で、まだまだ登録者数が増える可能性は極めて高い。

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