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コダマの核心

ヤマダ電機の最大の敵は、米アマゾンだ!(中)
コダマの核心
2013年2月 6日 07:00

<薄型テレビ特需を先き食いした反動>
 地上デジタル放送移行と家電エコポイント制度の終了が重なり、4年分の薄型テレビ需要を先き食いした日本の家電市場は氷河期を迎えた。業界トップとはいえ、ヤマダ電機の13年3月期の売上高予想は前年同期比6.4%減の1兆7,180億円。昨年12月に子会社化したベスト電器の13年2月期の売上高は同20.0%減の2094億円の見込み。単純合算しても2兆円に届かない。「売上高3兆円」をぶち上げたころの勢いは消えた。
 その一方で、ネット通販が力をつけてきた。ベスト・バイの窮状は、日本の家電量販店にとって、"明日は我が身"なのだ。山田会長が「家電量販店は3社に再編される」と口にするのは、ネット通販に蹴散らされた米国の家電量販店と重ね合わせて見ているからだ。
 米アマゾンに代表されるネット通販が勢いを増すなか、ヤマダは日本の家電量販店の王者とはいえ、その地位は磐石ではない。山田会長にとって、今や、最大の敵はアマゾンである。
 そしていよいよ、アマゾン対抗策に打って出た。

<アマゾンの電子書籍端末販売を拒否>
 米アマゾンは昨年11月19日、全国の家電量販店などで、電子書籍専用端末「キンドル」の販売を開始した。出版・書店業界では"黒船襲来"と大騒ぎになった。アマゾンのキンドルが、米書店業界を存亡のふちに追い込んだからだ。
 米アマゾンは07年に電子書籍を読むための専用端末、初代キンドルを発売。同時にネット上で電子書籍販売を本格化した。参入にあたりアマゾンが採ったのは低価格戦略だ。新刊やベストセラーを、ハードカバー書籍の半額以下で売り出した。
 電子書籍と専用端末の両輪で、またたく間に普及。11年2月、電子書籍の対応に遅れた全米2位の大手書店ボーダーズ・グループが経営破綻した。アマゾンの低価格での電子書籍の殴りこみで、米国の家電業界と同じように書店業界も淘汰されていったのだ。

 アマゾンが日本の電子書籍市場に乗り込んできた。ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、エディオンの家電量販店3社は、キンドルの販売を見送る決定をした。その理由は「キンドル普及を後押しすることは、アマゾンの通販サイトなどへの顧客流出につながると判断した」としている。平たくいえば、「敵に塩を送らない」ということだ。

(つづく)
【児玉 直】

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