中国の地元メディアによると、浙江省温州市で5日、1歳児が政府当局の役人の車に轢かれ死亡する事件が起きた。報道では、一人っ子政策を監視する役目の家族計画担当役人が、一人っ子政策に違反した家族ともみ合ううちに、子どもが車に轢かれたとされている。一人っ子政策に違反した家族は、役人に高額な罰金を支払うか拘束されるかの選択を迫られるという。そして、時として高圧的な態度に出る役人に対し、中国国民は批判的な心情を抱いているという。
最近のデータによると、中国の特殊出生率は1.18。政府はかねてから1.8という数字を示していたが、最近になって、大幅に下方修正された。出生率1.18とは、日本の出生率1.39よりもはるかに低い数字で、日本以上に速いペースで少子高齢化が進んでいる。2020年半ばには総人口が減少するとも言われ始めた。1980年に始まった一人っ子政策も30年以上が過ぎ、「80後」と呼ばれる世代は2億人を突破している。そして、彼らのほとんどが「421家庭」と呼ばれる。祖父母が4人、両親2人、子どもが1人という家庭のことを指すのだが、子ども1人が将来大勢のお年寄りの面倒を見なければならないのだ。これまで大きな人口に支えられてきた中国経済も、早い段階で世界からそっぽを向かれかねない。
一方で、一人っ子政策は男女比のいびつさも露呈している。中国国民の男女比は、118:100。国際社会で正常値とされる103~107と、大きな開きがある。元来、男の子を重宝がる風潮から、中国では、女児が産まれると遺棄したり、殺害したりする事件があとを絶たないという。そういう背景もあり、2020年ごろには、3000万人の男性が嫁をもらえない、いわゆる「売れ残り」男性となってしまうのだ。今後、中国の独身男性が嫁を求めて国を離れる者も出てくるだろう。そうなれば、ますます国内から労働生産人口が減っていくかもしれない。
迫り来る少子高齢化、人口減、嫁不足、、、様々なところに弊害をもたらしているにもかかわらず、中国の一人っ子政策は表向きは未だ続いている。
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