<効率化のみで農業切り捨てていいのか>
――ニーズに応えて政策を具体化していくのは、国会議員がどれだけ国民に密着して実情にナマで接して活動しているかにかかっていますね。
古賀 そのとおりだと思います。たとえば、農業について、当初は「農業もどんどん輸出して輸出戦略作ってやっていけばいい」と、思っていた部分もあったのですが、実際に農業を営まれている方にお話をうかがうと、けっしてそんな簡単な問題ではないのです。効率化できる部分、できない部分があって、しかも中山間地とかで農業されている方というのは効率だけでやっているわけじゃない。環境に寄与していたり地域を形成したり、農業が占めている役割があって、そういうところをどうするのか。日本の農業をどうするんだ、担い手も減っている、どうするんだというときに、効率化だけでは考えられない部分は切り捨ててしまうのか、そこは荒れ果ててもいいんだと思うのか。単純に競争力を上げればいいという問題じゃないとすごくわかりました。そういう農業の現状とか将来のことを、国会でも議論していかないと、大店立地法のように大規模スーパーがあればいいとやってしまって、気付いたときにはシャッター街みたいに地域が荒廃していた、そういうことになりかねないので、しっかり現状や声を、中央に、国会の場に届けたいと思います。
<現場と政策の乖離をただす>
――今回の緊急経済対策には「財務省冬の時代、経産省主導の予算」という声が上がっていますが、日本経済再生のために、今後、経産省だけではなく、厚労省主導、農水省主導にもいきそうですか。
古賀 予算を使うべきときにしっかり使わないといけないというのは、ある意味事実で、あんまり絞っていては景気に与えるインパクトが小さくなる。一方で、長期的に財政をしっかり堅持していくことはけっして財政の面だけじゃなくて、日本の地位、国の信頼度を含めて大事なことです。経産省だけじゃなくて、各分野を見ていると、各省が政策を打って、それが日本全体にいい影響を与えるようにならないといけないわけで、けっしてどこかの役所だけがリーダーシップを取ってやっているわけではないと思っています。
役所で働いていたからわかるのですが、もっと各省の人が、地方の声をしっかり把握して、それを政策に転換していくのが大事ですが、最近そういうことが少しできていないんじゃないかと感じています。それを補うため、国会議員が、または公務員自身が、現場に足を運んで政策に切り替えていくことをしっかりしていく必要があると思います。
――公務員サイドにそういう力が落ちている。
古賀 そう思います。私が財務省にいたときも、現場に足を運ばなくなったという声がありました。ある省がつくった中期的な計画が現場の人から見ると「全然現場の声がわかっていない」という話が政治活動中にもありました。現場をしっかり踏まえてやらないと、現場と政策が乖離してしまうという心配がありますね。それだけに、政治家として、現場の声を聞き、実情を中央に理解してもらい、国政に反映していくのが私の使命だと思って、しっかり実行していきます。
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