中国の旧正月「春節」では、爆竹を鳴らして盛大にお祝いすることが一般的だ。どこの家庭でも爆竹を大量買いし、この日ばかりは、大きな爆音とともに、街中に歓声が響き渡る。しかし、今年はそう大喜びもしていられない事情がある。北京を中心とした深刻な大気汚染問題があるからだ。
中国メディアは春節を前に、爆竹による大気汚染の悪化をいっせいに報道し、花火や爆竹によるお祭り騒ぎを控えるよう促した。また、北京市の気象台は毎日、大気汚染指数を発表しているが、春節期間中のほとんどが花火や爆竹を使うのに「適さない」や「あまり適さない」と判断し、発表していた。この問題は中国国民の間では重大な関心事のようで、インターネットの掲示板では800を超えるスレッドが立てられたという。そして、その多くが春節の爆竹を控えることを支持する内容だったという。
春節の花火や爆竹は大晦日(9日)が最も盛り上がる日で、その量も最大規模になる。今年は例年になく、爆竹や花火の量が減ったというが、9日朝と9日深夜を比較すると、大気汚染の指標が10倍以上悪化し、政府は「最重度の汚染レベル」に達したとして、「爆竹や花火を使わないでください」とのお願い文を、中国版ツイッター・微博に流したという。
今、中国のみならず、世界各国のメディアがいっせいに中国の大気汚染問題を報じている。中国のインターネット上には、中国に工場を進出させた先進諸国にも原因があり、先進諸国は中国の大気汚染問題に手を貸すべきだとの論評も飛び出し始めた。深刻さを増す大気汚染問題は、中国の経済成長に今後、いっそうブレーキをかけるかもしれな
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