民主党福岡県連は9日、常任幹事会を開き、今夏の参院選における公認候補を公募で選ぶことを決めた。
公募の締め切りは今月20日。面接などを経て3月2日の午後1時から久留米、同4時から福岡、3日午後1時から飯塚、同4時から北九州の順で候補者の演説会を開く。
その後、所属議員、党員、サポーターによる投票を行ない、来月16日に公認候補を公表するとしている。
民主党組織としては全国初の取り組みで、有権者の注目を集めることになりそうだが、背景にあるのは現職参院議員の不祥事である。
再選を目指す岩本司参院議員は現在2期目。民主党政権下で農林水産副大臣を務めた人物ながら、2011年に自身の政治資金管理団体「岩本つかさ後援会」が政治資金パーティで集めたカネを使って、キャバクラ遊びに興じていたことが発覚。会見を開いて釈明するという失態を演じ、一躍時の人となった。無名に近かった岩本氏が全国紙の紙面を飾ったり、テレビのニュースで主役を演じたのはこの時ぐらいである。
その後、福岡のニュースサイト「HUNTER」が、岩本議員が沖縄旅行を繰り返し、リゾートホテルに宿泊してゴルフに興じていたことや、牛丼やちゃんぽんといった自身の食事代や妻の給料といった生活費にまで政治資金を充てていたことを報じている。
民主党県連内部では、こうした岩本議員の政治家としての資質に疑問の声が上がっていたほか、党務で汗をかこうとしない活動ぶりにも批判が集中、昨年の衆院選前には、県連をあげて岩本氏の参院の議席を剥奪する動きに出ていた。現職の離党(古賀敬章前衆院議員が離党し、「国民の生活が第一」へ)で空白となった福岡4区における岩本氏擁立を決定、同選挙区の支部長に就任するよう、岩本氏に要請を行ったのである。
岩本氏はこれを固辞したが、県連の要請を断った段階で岩本氏の政治生命は絶たれていたと見るべきだろう。
全県選挙では、前衆院議員が支部長を務める総支部ごとに選挙戦を組み立てざるを得ない。これに連合福岡が支援するかたちとなるが、もともと岩本氏に愛想を尽かしていた各級議員たちは、岩本氏を応援するつもりなど毛頭なくなっている。ただでさえ第3局に押しまくられ、先の北九州市議選でも議席を減らすなど、党の退潮傾向には歯止めがかからない状況で、火種を抱える岩本氏では勝負にならないと見るのが自然の流れなのだ。
さらに、県連が岩本公認を怖がる理由として、岩本氏のキャバクラ問題やHUNTERが報じた数々の狂態を、大手メディアが再度取り上げる可能性が囁かれ始めたことも見逃せない。
岩本氏を担いで参院選を戦った場合、旧悪はさらに敵陣営の絶好の攻撃材料になることは確か。それは民主福岡の終焉を意味している。
候補者公募は、現職議員の存在を否定したに等しく、手を挙げて党員・サポーターからもダメだしを食らうようなら、岩本氏の政治生命は完全に絶たれることになるだろう。
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