ウェブ戦略を軸にした営業・マーケティングなどの支援で、クライアント企業が求める理想を目に見える利益、成果に変えていく(株)イットジャパン。クライアントの多くは既存客からの紹介で広がったものだ。ウェブ制作会社との価格競争に挑むことなく、文字通り「なすべきことを成す」というスローガンを実践し、信頼を勝ち取って来た。代表の吉富太郎氏は「ようやく組織が成熟してきた」と手ごたえを感じている。だが、これまでは、決して順風満帆の道のりではなかった。
吉富氏は16歳で起業を決意。20代は就職先でマーケティングの腕を磨き、2002年5月に(株)イットジャパンを設立した。ウェブサイトを納品する「モノ」作りではなくウェブサイトで商売が成立する「コト」作りで実績を残したことが自信になったという。社員3名でスタート後、7年目には23名まで増加していたが、拡大した組織は急速に弱体化。分業を進めたことがきっかけで、創造的仕事から作業的仕事に社内の空気が変わっていったことが原因だった。
これを期に「そもそも何のための経営か」初心にかえって考え抜いた。「自分が生を受けたのは人を幸せにするため」――それが結論であった。そこで吉富氏は新卒入社2年目社員が出した案「なすべきことを成す」を経営理念に採用。成すとは文字通り理想を実現することだ。クライアント企業の先にいるエンドユーザーの満足を満たす、そうすればクライアントも満たされる。こうした人を幸せにする考え方、実現する手段、そして人としての幸福論に至るまでを、社員全員参加で毎週開催する講義、勉強会で徹底して共有している。また、社員間でそれぞれの成長を支援する「フォローアップチャレンジ制度」や、半期に一度、自社を最も笑顔にした人を社員間投票で選出する「スマイル手当制度」など、社員数を18名に絞った組織は格段に強くなっている。
同社によって、クライアントの年間売上や利益を150%向上させることが珍しくない。これは自身の経験から、クライアントに対しても企業理念の大切さをプロジェクトメンバー全員で共有し、一貫してウェブサイトの構築や運用に反映させるからなのである。多くのウェブ関連企業の現況は戦術面の一端を担うツール作りを行なっているのに対し、同社はツールを作るだけではなく、経営理念を軸に経営とはどうあるべきか、を前提とした戦略的な仕組みづくりまでも手掛けるのが特徴と言えよう。ウェブサイトに留まらず、経営戦略策定、トータルでの販促支援を任せられる数少ない価値創造集団なのである。また現在、楽天内にショッピングモールを構築する準備を進めており、早ければ月内にもスタートする予定だ。人材育成に力を注ぐ同社では、過去の教訓を生かし、一定規模になれば組織を分社化して積極的登用を図っていく。「人生は一度きり」という吉富氏は人を幸せにするため「成すべきこと」に全力を注ぐ。
<COMPANY INFORMATION>
■(株)イットジャパン
代 表:吉富 太郎
所在地:福岡市中央区大名1-15-33
設 立:2002年5月
資本金:1,000万円
TEL:092-771-6547
URL:http://www.itjpn.co.jp/
※記事へのご意見はこちら