2015年の総選挙とASEAN市場統合へ向けて、急速に民主化政策が進むミャンマー。これまで電力などのインフラ整備の遅れから外国企業が進出に二の足を踏んでいた「アジア最後のビジネスフロンティア」が今、世界中から注目を集めている。そして、福岡県の地場中小企業においてもミャンマー進出への関心は高まっている。
2月14日から15日まで、中小企業家同友会全国協議会は、「第43回中小企業問題全国研究会」を福岡市で主催。その第9分科会で、石川県の印刷会社・(株)北陸サンライズの木村竹芳代表取締役が、ミャンマーでの事業展開と今後の展望について報告を行なった。同社は1998年にミャンマーで合弁会社MYANMAR ABC SUNRISEを設立。印刷からパッケージ加工まで一貫したワンストップ工場を運営している。
木村氏の話によると、ミャンマーの現状は、近代文明が次々と入ってきた日本の明治維新の時代に近いという。急速な民主化、経済の自由化は混乱をも伴う。現在、ミャンマーでは自動車価格が急上昇しており、とくに人気が高い日本車は、日本の8~10倍くらいの値段で売られていることも。現地における実感で「自動車の量は倍になった」という。今後、交通整備や自動車のメンテナンス関連の拡充が急務となることが予想されるが、同様に、1つが呼び水となり、関連分野のニーズが急速に高まっていくことは想像に難くない。
ミャンマーが歴史的な親日国家であることに加え、識字率が高く、温和で器用という国民性も日本企業の進出にとって大きな味方となるだろう。昨年11月には、新外国投資法が成立。1月末にその施行細則が開示され、現在、その翻訳が進んでいるが、わかっているところでは、実務処理が改善され、外国企業の投資申請がスピードアップされると言われている。
こうした環境整備によって、今後、日本企業のミャンマー進出はますます増えるだろう。福岡県中小企業家同友会の国際交流委員会では3月にミャンマーを視察する予定。同委員会所属で、すでにシンガポールで現地法人を設立し、プラント・エンジニアリング事業を展開しているエヌビーエス(株)の石橋一海代表取締役は、「日本のビジネスマンが安心して快適に泊まれるビジネスホテルを建てたい」と、新たな構想を語った。
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