福島第一原発事故を起こした東京電力の旧経営陣らの刑事責任を問う福島原発告訴団の九州報告集会が2月17日、福岡市の九州大学箱崎キャンパスで開かれ、九州・沖縄から告訴・告発人、原発事故避難者、支援者ら130人以上が参加した。
原発告訴団長の武藤類子さんが福島県から出席し、告訴の状況を報告し、福島の現状を話した。「(空間放射線量が高い)ホットスポットが街中にある」と述べ、安全な食料の確保から、日本政府とIAEAが共済した福島閣僚会議への対応まで奔走している日常を語った。屋外での開催を見合わせていた行事が2012年から復活して屋外で実施されていると紹介し、「『放射能は大丈夫か』と声に出せなくなっている」と述べた。
事故前に住んでいた里山の写真を上映しながら、「毎時0.2マイクロシーベルト(の放射能汚染)でも美しい森です。戸外で過ごすことがなくなり、どんなに美しくても触れることのできない世界は悲しい」と訴えた。「事故の前と後では暮らしが変わってしまった。つらさ、悲しみがあるが、新しい1歩、新しい再生するためには、事故の原因と責任をはっきりさせなければいけない。それが一歩だと思う」と結んだ。
集会では、避難者や九州・沖縄各県の市民9人(代読含む)が、福島への思いを述べた。「命と健康なくして国家の繁栄はない」「原発の危険がわかったからには大人の責任として子どもたちの未来を開けたものにし、原発を閉じたものにしていく、再稼動をつぶしていく」と語り、原発をなくし命が大切にされる社会に再生させる一歩を共有した。
千葉県から子ども2人といっしょに福岡県に避難している女性(40)は「普段は自分の生活で精一杯だが、子どもたちのために黙っていてはいけない」と感想を話していた。
告訴団では、原発事故の責任を明らかにし、厳正な捜査と起訴を求める緊急署名に取り組んでいる。22日には、強制捜査を含む厳正な捜査・起訴を求める東京地検包囲行動を計画。東京地検に署名を提出し、東電本社を包囲する。武藤さんは「東電は責任の大きさを自覚して責任をとってほしい。『東電は自首しろ』と言いたい」としている。
2012年6月に福島県民1,324人が東京電力の勝俣恒久会長や経済産業省原子力安全保安院院長(いずれも事故当時)ら33人を業務上過失傷害罪、公害罪などで福島地検に告訴・告発し、同年11月、全国から13,263人が第2次集団告訴・告発した。正式に受理され、検察の捜査が始まっている。
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