言うまでもなく、「人間の肉体を冷凍保存し、将来、記憶や感情と共に蘇生させることが本当に可能かどうか」という疑問に、現時点では科学的にあり得るとも、ありえないとも答えられないだろう。なぜなら、現在においても様々な革新的な研究が進められており、100年後にならなければ、信頼性のある答えが得られないと思われる研究も多いからである。確かに、今日の常識や医学のレベルでは不可能な夢物語と思われるであろうが、50年後や100年後にそれが不可能のままだとは誰も言い切れないはずだ。
たとえば、長年夢の世界をビジネスにしてきたウォルト・ディズニー氏も未来社会の復活を夢見ていた一人である。1966年にウイルス性疾患で亡くなったが、葬式が身内だけで行なわれ、遺体も明らかにされなかったため、様々な憶測が乱れ飛んだ。最もよく聞かれたのは、「ディズニーランドのなかにある"カリブの海賊"と呼ばれるアトラクションの下に冷凍保存され、将来の蘇生技術の完成を待っている」との噂である。今でももっともらしく語り継がれている。しかし実際にはカリフォルニアの冷凍保存サービス会社の低温維持装置のなかで静かに目覚めの時を待っているようだ。
このように、有名人や大富豪と言われる人々の間では、すでに冷凍保存は数ある有効な保険の1つとなっている。プロのスポーツ選手や成功を手にした経営者のなかには、こうした選択を行なうケースが確実に増えてきている。また、一般人の間でも家族や親しい友人たちが、同じように未来社会で復活できるように、グループ保険に加入するケースも増えてきているという。
これらは今のところアメリカでの話だが、長寿社会の日本とはいえ、われわれの命はせいぜい100歳辺り。このアメリカ発の保険と技術に賭ければ、まさに永遠の命が手に入るかも。宝くじを買ったつもりで、トライしてみてはいかがだろうか。もちろん自己責任が原則だということをお忘れなく。
≪ (4) |
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。現在、外務大臣政務官と東日本大震災復興対策本部員を兼任する。
※記事へのご意見はこちら