<住宅発電所の時代>
《住宅発電所》のコンセプトはパナソニックが打ち出したものだ。今後10年間、住宅業界はこの《住宅発電所》のキーワードで大激変が予想される。その大地殻変動にともなって、日本を代表する異業種の二大巨頭であるトヨタとパナソニックが合併する可能性も囁かれている(持ち株会社にぶら下がる方式)。もし、そのような合併が実現すれば、連結25兆円に迫る世界トップ企業に変貌する。予想される《大激変》とは、従来の住宅業界の発想の延長からのものでなく、別世界、別次元の世界から強烈なインパクトが襲ってくるというものだ。
《住宅発電所》の従来の発想は、太陽光パネルを背負って発電して、自宅で使用し売電するという枠内のものであった。別世界からのインパクトとは、自動車業界のEV(電気自動車)が住宅の発電所の役割を担うということである。トヨタは幾度となく住宅業界に参入を試みたが、満足した結果を残していない。「今度こそ自動車づくりで培った技術で、住宅業界のシェアを握るぞ」という野心を漲らせている。一方、過去の事業がすべて赤字にあり、パナソニックとして新たな収益事業を短期間で育成することが至上命令になっている。ここに強者同士の利害が一致するようになり、統合話がにわかに真実味を帯びるようになってきたのだ。
仮に、2社の統合が実現しなかったとしても、《住宅発電所》は必ず普及する。戸建を所有する家庭は毎月、平均して電気・ガス料金3万円、車使用のガソリン代1万円を使っていると言われる。この費用を《住宅発電所》で賄うとなると、とんでもない産業構造変革が進む。減り続けているガソリンスタンドの淘汰が、一段と加速する。電気事業会社、ガス供給業者も様変わりするだろう。《住宅発電所》普及の福音は、オイル・ガスの輸入が激変することだ。エネルギー調達の出費が圧縮すれば、国内に大量の金が廻るようになる。
※記事へのご意見はこちら