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脱原発・新エネルギー

福岡県・市に脱原発・防災など要請~風船は奈良に到着
脱原発・新エネルギー
2013年2月21日 10:14

02_0220_kentyou.jpg 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の操業差し止めを求めた「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団らは2月20日、風船を使った放射能拡散実証実験の結果を示して、小川洋福岡県知事、高島宗一郎福岡市長に対し、原発再稼動中止と廃炉を九州電力と国に働きかけるよう要請した。要請では、気流の実態を踏まえた放射能拡散に対応した原発事故防災体制の構築、「脱核エネルギー宣言」の表明も求めた。また、九州電力に対して、再稼動の中止と廃炉、1人の被害者も出さない完全な原発事故防災体制などを要請した。

 風船を使った放射能拡散実証実験(「風船プロジェクト」)は、同原告有志らが「放射性物資拡散予測の信用性がまったくない」として、自らの手で検証するため、実行委員会をつくって、2012年12月8日に実施された。玄海原発から約1キロ離れた場所から、メッセージカードを付けた風船1,000個を飛ばし、到達した風船を見つけた人から2月14日時点で16件の発見情報があったという。佐賀県、福岡県、大分県、四国、紀伊半島で発見され、1番遠くは554キロ離れた奈良県に到達している。また、実験開始から2時間余り後には福岡市西区周船寺で確認され、7時間後には403キロ離れた徳島県に到達。時速57キロ以上(秒速約16メートル)の速さになる。風船を飛ばした時の風向きは西北西の風(風速4メートル)。風船の拡散には上空のジェット気流の影響があったとみられる。

02_0220_siyakusyo.jpg 要請では、風船の飛行経路と放射性物質の拡散は同一ではないとしつつ、「数時間以内に福岡県内の各地が放射能に汚染され、県民が甚大な被害を受ける可能性のあることが明らかになりました」と、指摘。「福岡西方沖地震の際には大渋滞のため周船寺から唐人町(福岡市中央区)まで10時間かかったの見れば、避難のしようがない」として、脱原発をリードする「原発いらない」の宣言を求めた。3月31日までに見解の回答を求めている。福岡県・市はそれぞれ、回答する方向で前向きに検討するとしている。

 要請には、実行委員会代表の柳原憲文氏や原告弁護団らが参加した。柳原代表は要請後、「九州電力の原発再稼動ありきの姿勢にがっかりした。九電の体質を変える決意をあらたにした」と語った。要請に参加した女性は「九電が『リスクはあるだろうが、放射能とガンの因果関係は認められていない』と発言したのに驚いた」と、憤りをあらわにした。

 放射性物質の拡散には気象条件が大きく関わるため、風船プロジェクトは季節を変えて実施する計画。次回は4月14日。

【山本 弘之】


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