自民党が圧勝した昨年末の衆議院議員総選挙において、福岡県下の各小選挙区では、6区を除くすべてで自民党公認候補が当選(※1)。うち5人が新人であった。実績を上げられず、すぐに消えていった「○○チルドレン」への反省から、政党も有権者もこれまで以上に厳しい視点で今回の1年生議員を見ていくことになる。今回、福岡2区(福岡市中央区・南区・城南区)で初当選した鬼木誠衆議院議員に今後の抱負を訊いた。
<「古い自民党」を見直す>
――昨年の総選挙、福岡県では1つのキーワードとして「世代交代」があげられます。実際に同選挙を戦って、どのように感じましたか。
鬼木誠衆議院議員(以下、鬼木) あらゆる面で良くなかった3年3カ月の民主党政権を変えなくてはいけない、という国民の"憤り"が爆発したと思います。ただし、自民党の支持が回復したわけではないと、選挙が終わって感じています。
個人的にも安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」を支持していますが、それに対する国民の不安、たとえば、国の借金が増加やインフレに対する心配の部分で、自民党への風当たりの強さがまだ残っています。また、「国防軍」「集団的自衛権」など、何をやろうとしても反対意見は出ています。アルジェリアの問題を受けて、「情報機関を強化すべき」という意見が出る一方、「集団的自衛権を強化すると日本が巻き込まれたら危ない」という意見も出ます。そのような極端な両論がどちらかに爆発するというのが小選挙区、という怖さを感じています。
今回は、「民主党はダメ。政権担当能力は自民党」ということで、自民党が多くの議席を獲得し、福岡でも圧勝したわけですが、次に「自民党がダメなら、また...」という結果になります。したがって、「安倍政権でダメなら自民党は終わりだ」という見方があります。本当にそうなのかはわかりませんが――。
たとえば税制は長い歴史のなかでつくられてきており、その経緯を理解せず、断片的な議論をすれば混乱が生じます。「こうすれば良くなる」と言って一見良さげなことを並べても、全体としては大混乱です。一気にやらないと変えられないこともありますが、やはり、国民的議論のコンセンサスと政治・行政の継続性、すなわち歴史というものを理解している政党は、長く与党をやってきた自民党しかないというのが私の結論です。そのほかの政党が、部分的に正しいことを言うことはあります。しかし、部分、部分だけいじってしっかりとした国ができあがるのか、というとものすごく難しいのです。
――党幹部の顔ぶれ一新、若手の活躍など、自民党にも変化が見られます。
鬼木 むしろ私は、『古い自民党』を見直しています。橋下内閣以来、「改革」が叫ばれ、「構造改革」が1つのキーワードになってきました。その当時、私は銀行で働いており、金融ビックバンを経験しました。そのとき、掲げられたスローガンは「フリー、フェア、グローバル」です。それ自体が横文字であることからわかるように、誰にとってのフリー(自由)で、誰にとってのフェア(公正)で、誰にとってのグローバル(国際化)なのかというと、"日本のためのものではなかった"のです。外圧によって金融ビックバンをした結果、ものすごい国益が流出していったのです。
「改革」という名のもとに郵政民営化が行なわれ、「自由化と規制緩和しか、日本が生き残る道はない」という単純化された理屈のなかで、傷つきまくったのは内需産業です。地域の商店街、小売産業、農業、土木、建設という国民生活を支える内需産業が敵視され、傷ついていきました。そして今に至っています。私はそれらを守ってきた自民党は正しかったと思います。
規制とは、いろいろなものを守るためにあります。秩序をつくり、ルールをつくり、だけど、それが悪とされてきた。ものすごく単純化されたなかで改革が行なわれてきたことに私はものすごく疑問を感じています。そして、選挙のなかでとにかく内需産業が傷ついていることを目のあたりにしました。しかし、いまだにマスコミは「古い自民党に戻してはいけない」という論調にあります。さらに、ステレオタイプな言葉で「公共事業=悪」「規制=悪」という図式が国民に刷り込まれているわけです。
――「官僚=悪」「公務員=悪」もありますね。その影響で公務員を志望する若者が減り、人材不足が懸念されていると聞きます。
鬼木 公務員叩き、地方議員叩きがひどすぎます。何が正しいのか、日本でまともな議論ができなくなっています。日本全体が萎縮を続けています。
※1 当選時、無所属であった福岡6区の鳩山邦夫衆議院議員は、選挙後、自民党への復党が認められた。
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<プロフィール>
鬼木 誠(おにき・まこと)
1972年10月生まれ。福岡市立当仁中学校、私立ラ・サール学園高校、九州大学法学部を卒業し、95年に西日本銀行(現・西日本シティ銀行)入社。2003年4月、福岡県議会議員に初当選。07年、11年と再選される。県議会時代は11年から12年11月末まで警察委員長を務めた。12年12月16日、衆議院議員総選挙で初当選。現在1期目。
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