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ボーダレス化が育む流通業界のビジネスチャンス(2)
流通
2013年2月25日 07:00

 価格競争に対応できない小売業の再編、淘汰が加速している。一方で時代の変化をチャンス新たなモデルが生まれ始めている。

<ネット通販が閉塞感を打ち破る起爆剤に!?>
 「F&B良品」参加自治体の顔ぶれは多彩で知名度や特徴も異なる。世界遺産・合掌造りの白川郷で知られる富山県南砺市、刃物・金物が盛んな新潟県三条市、観光資源豊富な栃木県那須町。大震災による壊滅的被害からの復興に力を注ぐ陸前高田市。兵庫県多可町は酒米や織物を特産としている。福岡県からは大刀洗町が参加している。
 鹿児島県薩摩川内市は2012年5月にいち早く導入した。同市は薩摩半島の要衝で、県下では霧島市、鹿屋市とともに鹿児島市に次ぐ規模を誇る。だが、大手企業の工場撤退が相次ぎ、人口減少に歯止めがかからない。地域の中核を担う都市ですら過疎化にあえぐ、地方の現状を映す市だ。場外車券売場などを通じて樋渡氏と交流があった岩切秀雄市長がリーダーシップを発揮。武雄市に次いで自治体通販進出を果たした。
 ある職員は「当初は行政がそこまでしなくても」と慎重だった。だが考えてみると、地域物産展などイベントは行政が加わることで成果を上げている。市の現況を鑑みてネット通販が「閉塞感を打ち破る起爆剤になるかも」と思い直したという。今回の参入は「ひとまず試験的な導入」だ。今のところ9社17品目に止まっている。それでも黒豚の味噌漬けや鯨の竜田揚げなど消費者が飛びつきそうな商材を保有する。実際に12月の「F&B良品」ポータルサイト化は販売につながった。今後の出点数増加が待たれる。

 武雄市の旗揚げから薩摩川内市の参入まで約半年を要した「F&B良品」だが、その後は12年7月に2件、10月2件、そして12月3件と急速にスピードが上がっている。当面の目標を200に設定するのは、そこを臨界点と見るからだ。およそ1,700の自治体の1割を超えれば雪崩現象によりネット通販第3局を形成できると見ている。
 これまで武雄市の牽引力へ依るところが大きかったが、12年12月に沖縄県石垣市が加わった。樋渡市長が「横綱」と称する同市は日本屈指のリゾート地。人口は増え続けている。単独でも高い知名度を有するが、「F&B良品」連合体に加わった。参加を検討する自治体への影響は計り知れない。一方で、出店数が増えるほど自治体間での競争に晒されるが、市場原理導入こそ樋渡市長の本意だろう。

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(つづく)
【鹿島 譲二】

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