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ボーダレス化が育む流通業界のビジネスチャンス(4)
流通
2013年2月27日 14:15

 価格競争に対応できない小売業の再編、淘汰が加速している。一方で時代の変化をチャンス新たなモデルが生まれ始めている。

<海外進出もより身近なものに>
 SNSの普及が中小企業へのビジネスチャンスを広げる一方、海外進出も身近になってきた。福岡で20店舗以上の飲食チェーンを展開する竹乃屋の竹野亨社長はカンボジア進出を検討する。14年春に開業するイオンモールプノンペン(仮称)に出店する方法も選択肢。日本出店と同じ環境で出店できるのが強みだ。

img2.jpg プノンペンに関しては水道、電気などのインフラは整備されている。ただし、単独出店では自力でさまざまな交渉を行なわねばならない。イオンモールならこれら一切はイオンの仕事。何より極めて重要ながら困難な立地を「プノンペンの銀座」に確保している。14年以降、世界のデベロッパーが続々と進出してくる。他国に先駆けて開業するイオンが成功すれば、今後のASEAN展開で優位に立つ。文字通りアジアNO.1の小売業になるための拠点だ。

 国内のイオンモールを見ると出店の計画が浮上した段階でテナントは国内大手チェーンや有名企業で埋まってしまった。ところが、プノンペンについては野心的な地場中小企業の誘致に積極的だ。環境面も追い風となる。小売業に限らず日本の大手企業は海外進出に慎重だ。「親日国で日本の企業を招致したいのに意思決定が遅すぎる」と嘆くのは、カンボジア地雷撤去キャンペーン代表の大谷賢二氏。「その間に中国・韓国に機会を奪われてしまっている」という。

 「儲からないかもしれない」でなく「必ず儲かる」でないと進出しないのが実情のようだ。それでもイオンは国内企業のホスピタリティを高く評価する。イオンカンボジアリーシングデパートメントマネージャー・蓑原氏は「ASEAN諸国を見て回るとデザインの良い店、おいしい店などたくさんあります」と、評価する一方で、「日本式のサービスを持っている店はありません」。だからこそ、日本人が持っているサービスが武器になると考えている。約3割は日本企業を入居させたいと考えており、野心的な中小企業を積極的に導入する考えだ。
 先の竹野氏は「現地化が成功の条件」と安易な進出に警鐘を鳴らす。また、人材面での課題もクリアしなければならない。しかし、「グローバル化が叫ばれて久しいがなかなか進んでいないのが実情。人口減、高齢化は今からわかっていること。可能なら海外市場に出たほうが良い」と準備を怠らない。中国を皮切りに10年以上にわたって検討してきた海外進出がカンボジアで実現に近づいた。

(つづく)
【鹿島 譲二】

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