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さかえ屋・中野氏に第三者破産、録音記録が示す西日本シティへの疑念(3)
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2013年2月27日 10:36

<異常な介入態様優越的地位の濫用の疑いも>
sora_7.jpg 以上のような由香理氏に対する不適切な説明のほかにも、本件におけるNCBの対応には行き過ぎが散見される。たとえば、中野夫妻が辞任に追い込まれた経緯である。中野氏に辞任を迫ったのは、直接的にはさかえ屋の従業員代表者である。副社長(中野夫人)は、事実関係を確認するために「どの従業員が賛同しているの?」と同人に問い質したところ、直後にNCBから電話が入り、「『余計なことをしてもらっては困る』と叱られた」と証言する。従業員が自発的に社長交代を迫ることは、会社と自己の職を守るためのやまれぬ行動として理解できる。しかし、金を貸し付けて事実上の命脈を握る銀行が、融資先に社長交代を求めるとなれば、そこには「優越的地位の濫用」の可能性が浮上する。

 ここで「優越的地位の濫用」とは、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、取引先に対して不当な不利益を与える行為(独占禁止法ほか)を言う。要は、圧倒的な力の差を背景に、事実上断れない力関係の下で不当要求をのませる行為が「優越的地位の濫用」の典型例と言って良いだろう。これに照らせば、資金ショートの瀬戸際にあったさかえ屋に対して、借換可否の検討のためと称してデューデリを条件に課す行為は、「優越的地位の濫用」の疑いが生じる。また、事実上債務超過の会社に対し、断ればすべての融資を引き上げる姿勢を示しながら社長交代を迫る行為であれば、濫用禁止に抵触する可能性はさらに高まる(01年7月、公取委調査報告書参照)。そうなれば、公取委や金融庁の出番である。

 本件は、あくまで従業員が社長辞任を迫ったケースではあるが、先の証言は従業員の要求の裏側にNCBの関与があったことを疑わせる。その意味で、非常に興味深い証言と言えるだろう。

<録音記録や裁判書類NCBの主張は印象操作か>
 以上、本稿では、由香理氏の事例を中心にNCBと中野家のやり取りを検証してきた。前回の記事を含め、口頭でのやりとりが内容の大半を占めるため、一部の読者は「水掛け論では?」との感想をお持ちかもしれない。
 これまで伏せてきたが、実は一連の取材の背景には、中野家とNCBのやりとりの一部を記録した録音の存在がある。録音の存在を伏せた理由は、概ね2つ。1つは中野氏に対して頑なな態度をとるNCBに対し、暗に翻意を促し妥協点を探る目的があったこと。もう1つは、中野氏がNCBと戦い続けた場合、虚偽や矛盾を明確にする材料として録音が意味を持つ可能性があったことである。加えて、今回登場した第三者(U氏やM氏)の名誉に配慮する意味合いもあった。しかし、期待も虚しく、NCBは第三者破産の申請に踏み切り、両者の溝は埋まることはなかった。

 取材拒否の姿勢を示すNCBだが、申請書類や中野氏に寄せられた質問の回答書面などにより、その主張が明らかになってきている部分もある。とりわけ裁判所に提出した申請書類のなかでは、デューデリに至る経緯について、さかえ屋から追加融資の要請(実際には借換要請)があったかのような記載があり、「印象操作では?」と首を傾げたくなるような部分も見られる。

(つづく)
【田口 芳州】

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▼関連リンク
・粉飾決算の代償は全株無償譲渡!(株)さかえ屋・元代表取締役社長 中野利美氏インタビュー(1)
・「さかえ屋決算粉飾」は、社会面で"事件扱い"するほどの記事か?


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