ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

企業

さかえ屋・中野氏に第三者破産、録音記録が示す西日本シティへの疑念(4)
企業
2013年2月28日 07:00

<不自然な中野氏の処遇嵌められた疑いも>
sakaeya_nakano.jpg 本稿を上梓する原因となった最大の理由――それは中野氏に対する処遇、その1点の疑問へと集約される。ここで、中野氏が社長を退かず、株も手放さなかったと仮定してみよう。その場合、「今後一切支援しない」とのNCBの方針によって、さかえ屋はデフォルトに陥ったうえで倒産し、従業員は職を失い、一般取引先と金融機関は多額の不良債権を発生させた可能性が高い。もちろん中野氏も、地位と私財をすべて失い、破産を免れないだろう。だが現実には、さかえ屋は存続し、従業員の雇用も守られ、一般取引先も不良債権を発生させなかった。銀行団としても一部の債権カット(事業再生ADR)で済んだうえ、NCBに至ってはさかえ屋そのものを手に入れた。将来的に利益を生む可能性があるからこそ再建に関与していることを考えれば、NCBを含め、すべての関係先が一定の利益を得たことになる。これらの基礎には、中野氏の社長引退・株式放出の決断があるのだが、それにもかかわらず中野氏がすべてを失うという1点だけは変わっていない。加えて、主債務者(さかえ屋)への支払い要求よりも、中野氏への連帯保証責任の追求が優先されている。これはバランスを論ずる以前に、あまりに不自然すぎる。

 しかも、ある程度の規模の会社では、オーナーがその地位を追われる際には、債務免除の特約を結ぶのが一般的な対応と言える。すべてを譲り渡す代わりに、今後の生活にだけは最低限の配慮を払う趣旨なのだが、本件についてはそれも結ばれていなかった。条件を提示しなかった中野氏の姿勢に問題はあるものの、そこに付け込まれて圧倒的に不利な条件で放り出された事実自体は動かない。挙句の果てに第三者破産である。

 このように見てくると、事前・事後のあらゆる事象が、中野氏・中野家の排除に向けられていたことがわかってくる。前回の記事で取り上げた中野氏策定の再建計画案は、何らの検討もなく却下され、トーマツからは頼んでもいない再建計画が提出された。これも中野家外しの一例と言えよう。とすれば、本件は最初から、中野家外しを前提とした、さかえ屋の経営権掌握が目的だったのではとの疑念が沸いてくる。
 そのように仮定した場合、突如出てきたデューデリ話や債務超過話、NCB・ドーガンらが手を組んだ再建の枠組みまで、あらゆる事実を再検証する必要が出てくる。前述のように、NCB側の主張も徐々に明らかになってきている。再建の行く末も含めて、今後も継続的にお伝えしていきたい。

(了)
【田口 芳州】

≪ (3) | 

▼関連リンク
・粉飾決算の代償は全株無償譲渡!(株)さかえ屋・元代表取締役社長 中野利美氏インタビュー(1)
・「さかえ屋決算粉飾」は、社会面で"事件扱い"するほどの記事か?


※記事へのご意見はこちら

企業一覧
企業
2013年2月28日 09:00
企業
2013年2月28日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル