2月28日、大手化粧品会社の(株)資生堂が化粧品・医薬部外品における動物実験の廃止を決定した。今回の発表に先がけ、アメリカでも今年1月23日、国立衛生研究所が実験動物としてチンパンジーを使用した医学研究への出資を打ち切る方針を発表しており、欧米に続き、日本でも動物実験の見直す潮流になりつつあるようだ。
すでに欧州では「EU化粧品指令」として、化粧品に関する動物実験の禁止を定めた法規制を2003年3月に発効していた。今年3月11日からはEU域内で動物実験を経た化粧品の販売ができなくなり、それに照準を合わせたものと見られる。資生堂は今後、細胞や人工皮フなどを用いた試験方法、化学構造による安全性予測システムなどの組み合わせによる代替法の認可を国に働きかける方針を打ち出している。
NETIB-NEWSでも動物実験は懐疑的であるという見地から、鹿児島の(株)新日本科学について検証。同社が得意とするカニクイザルを用いた前臨床試験において、データ改ざんや動物虐待の疑いが浮上している点について検証してきた。
動物実験に関しては、これまで主に動物愛護の観点から、国内ではNPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)などから根強い反対意見が出ていた。また、ヒトの生体を研究する専門家の間では「動物実験をせずともデータとれる部分に関しては、コンピュータによる検証に代替しようとする動きが主流だ」という意見も聞かれる。
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