<輸入解禁はGDP拡大に好影響>
国際的にもLNG液化天然ガス争奪戦が激化する中、待ちわびていたアメリカからのシェールガス輸入が解禁となる見込み。このところ円安が進み、輸出関連企業にとっては国際競争力が付き、株式相場は活況になっている。株価が上がるのは歓迎できるが、円安による燃料コストの上昇は懸念材料となっていた。アメリカからシェールガスを割安で輸入できることになれば、日本のエネルギー事情も大きく変わる。
第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストの試算によると、割高なLNG輸入価格「ジャパンプレミアム」を解消し、その価格が半額になれば、発電コストを約3兆円減らすことが可能で、マクロ経済への影響は、3年後に実質GDPを5・6兆円拡大するほどのインパクトがあるという。永濱氏は、「東日本大震災後は、即輸入をせざるを得ない状況だったので、ぼったくり的な価格で買わされている。しかし、交渉の余地が出てきた。それだけでも全然違う。割安なシェールガスは、日本経済にとってかなり大きい」と語った。
<多角的なエネルギー戦略が必要>
遠くない未来、交渉によって半額にまで引き下げることができれば、このアメリカ産LNGの輸入解禁は、日本のエネルギー事情を救うことになる。永濱氏は、「単純に、すぐには半額にならないでしょうが、15%ぐらいは割安になる。15%割安でもGDPで試算すると1.7兆円分ある」とする。日本がシェールガス革命の恩恵を受ける出発点となる。
ただ、長期的にLNGの輸入価格を引き下げるには、さまざまな輸入先、調達方法を模索する必要がある。アメリカが重要な調達ルートになるのは間違いないが、アフリカ沖の海底ガス田からの輸入、ロシアからのパイプライン輸入など、多様化させることが不可欠だ。
また、同時に、輸入依存度を下げるためにも新たなエネルギー源の模索を図らなければならない。日本発のエネルギー革命とも言われているのは、日本の領海に眠っているとされるメタンハイドレート。この海洋資源は、低温高圧の状態の中に、天然ガスの主成分のメタンが大量に凝縮されている。日本近海での調査、開発が進んでおり、実用化が期待されている。
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