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尖閣問題、中国・安全保障の専門家は?(6・終)
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2013年3月 4日 07:00

<キーとなる日米同盟>
yasuda.jpg 対中国の領土問題を考えるうえで、日米同盟の存在は、重要なキーポイントとなる。資源獲得、国益獲得に奔走する中国にとって、対アメリカが最大の戦略目標となっている。安田教授は、「中国がアメリカに取って代わりたいと思っているかというとそうではない。アメリカと対決することがどれだけマイナスか認識している」と、指摘する。2007年、アメリカ、太平洋軍の司令官が訪中した際、中国海軍幹部から「ハワイを境目にして西側を中国が、東側をアメリカで管理するように分けましょう」と打診され、米司令官が即座に拒否したということが、議会証言で明らかになっている。
 「ハワイの件は、半分は冗談でしょうが半分本気。アジアに関しては、アメリカの影響力をできるだけ減らしていく方向で動いている」と、虎視眈々と太平洋に出ることを狙っている。

<アメリカへの依存しすぎはあやうい>
 日本はどう動くべきなのか。「アメリカが、いつまでも日米同盟を維持してくれるかというとそうとは限らない。『尖閣を守る』と言っているのは、リップサービスもある。アメリカにとって、国益がかなえば日米同盟を維持、強化するでしょうが、日本側も、アメリカの国益にかなう魅力を打ち出すことが必要」と、安田教授は語る。
 いざ、尖閣諸島付近で何か事が起こった場合、アメリカは、明確に国益にかなうという大義がなければ軍を動かさない。アメリカ人の血を流すのは、アメリカの国益にプラスになることに対してでしかない。

 「日米同盟に関して、真剣に考えるべき時に来ている。いざという時、アメリカに頼ればいいという安直な考え方は危ない」と、安田教授。日米同盟の強化、フィリピン、ベトナム、インドなど周辺国と連携を図ることも大事だが、それとともに、国民全体として、いざとなったら自力で、すべてを行なうという意識を持つことも必要だろう。アメリカが何とかしてくれるだろうという甘い考えは、捨てなければならない。

(了)
【岩下 昌弘】

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<プロフィール>
yasuda_pr.jpg安田 淳(やすだ じゅん)
慶応義塾大学法学部教授。専門分野は、国際関係論。専攻領域は、現代中国の安全保障、軍事。1983年、慶応義塾大学法学部卒業。89年、慶応義塾大学法学部博士課程単位取得退学。防衛庁防衛研究所、防衛庁教官を経て、99年に慶応義塾大学助教授。05年より現職。


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