中国共産党の全国人民代表大会が5日、開幕した。日本の国会にあたる全人代では、習近平首相の誕生をはじめ、重要な閣僚の人事など話題も多く、中国のメディアでは当然のことながらトップニュースになる。しかしながら、今回はことあるごとに環境汚染と「合わせ技」でニュースにするメディアが増えているようだ。
新唐人総合ニュースでは、天安門広場で警備に当たる公安の男性がクローズアップされ、砂埃が舞うなか一生懸命手すりをぬぐう姿が映し出された。それだけでなく、市民のインタビューでは、「黄砂とPM2.5で目も口も塞いで歩いている」との声も。
全人代では、「環境問題に対して人民の声に積極的に応えたい」とする代表の談話があった。全人代開幕に先立ってのスポークスマンは、大気汚染防止法など環境に関連する法律が強化されるとの見通しを伝えている。
アジア開発銀行と中国の専門家で調査したデータによると、中国の500都市のうちWHO(世界保健機関)が定める大気の品質基準を満たしている都市は1%にも満たないという。しかも、世界で最も汚染がひどい都市ワースト10のなかで7都市を中国が占めているという散々な結果だ。驚くべきは、中国政府当局が発表している7年後の北京市の大気汚染管理目標は、WHOの基準値の5倍以上ということで、7年経っても大気汚染指数が基準を下回ることは難しいという政府の見解が露呈している。
中国のメディアが何かにつけて、大気汚染問題に注目しているのは、これから始まる新政権への期待の大きさを物語っているのかもしれない。
※記事へのご意見はこちら