電気式床暖房はコストがかかるという認識は今や一昔前のものとなりつつある。15年前までは、1カ月の電気代が高額になるため、限られた人にしか流通しないという印象がぬぐえなかった。だが現在では、一番コストがかからないのではないかと言われている。今後、市場の拡大が見込まれるなか、床暖房の魅力を多くの人に知ってもらいたいと、(株)SUNQWORLDの代表取締役、野田孝一氏は語る。
<床暖房は最もエコロジカル>
――もともとは、外装工事の業者だったそうですね。
野田 ええ、屋根、壁、足場などを手がける職人でした。23歳で外装工事業者として独立しリフォームなどを行なってきました。床暖房材に出会ったのは、10年以上携わってきた業界から、新たな業界へと目を向け始めた頃でしたね。これからの時代に永く求められるような事業を興したい、と思ったのです。私は昔から物づくりが好きで、いろいろな商材の検討をしていたところ、偶然、出会ったのがフィルムタイプの電気式床暖房でした。
面白い、と思い、一から自分で研究を始めました。発熱体の構造、成分分析や電磁波の測定、ランニングコストなどを調べていくうちに、今まで電気式床暖房に抱いていた印象がどんどんと変わり、この商材を開発、製造販売したいと思いました。そこで北九州市に本社を持つ北九州住宅資材共同輸入㈱と共同で開発を進め、電気式床暖房SWAIFEが誕生、販売を始めて今年で3年目になります。
――なぜ床暖房に興味を持ったのですか。
野田 他の商材と比べて、電気式の床暖房が一番環境にも優しく、イニシャルコストも手頃で、エコビジネスとして最適な商材だと感じました。しかも電気式は意外にも低コストなのです。15年ほど前、電気式床暖房は1カ月で2~3万円も電気代がかかっていた頃があり、床暖房は贅沢品という印象がありました。しかし、現在では価格がずいぶんと下がっています。たとえば弊社のSWAIFEであれば、ひと月の電話代がエアコンやファンヒーター、ガス温水など、他の発熱体暖房に比べて2分の1~3分の2の低ランニングコストで済みます。
――伝導性カーボンフィルムについて、詳しくお聞かせください。
野田 PET樹脂ラミネートフィルムを材質とし、高導電性カーボンペーストを発熱体とする床暖房製品です。敷設場所や範囲などはプランに合わせて自由に調節できます。これを専用シートの上に重ねて施工します。使用電圧は200V(単層3線)50/60Hz。温度調整はコントローラーによる自動制御です。厚みが0.3mmという超薄型なので、新築・リフォームの際にも段差が生まれることなくきれいに仕上がります。
――暖房の温風が苦手だという人もいますが、床暖房だと、その心配がない
ようですね。
野田 そうですね。風が出ないので、埃やダニが舞い上がることがなく、汚れた空気を吸うこともありません。CO2の排出量も少なく清浄な空気を維持します。またフィルムはPET樹脂なので、処分も簡単、リサイクルも可能という点でも環境に優しい商品だと言えます。
暖房というと、温かさを皮膚で感じるもの、と思われているところがあるのではないでしょうか。しかしこの床暖房を使っていると、考えを改めたくなりますよ。床を触っても、とりたてて熱いわけではありません。温風が出るわけでもありません。空気を循環させなくても、身体は芯から温まり、冬場でもTシャツ1枚で過ごすことができます。
| (後) ≫
<COMPANY INFORMATION>
■(株)SUNQWORLD
所在地:福岡市西区大字飯氏667-6レナフォード今宿405
TEL:092-806-3460
<プロフィール>
野田 孝一(のだ こういち)
1975年生まれ。SUNQWORLD として10年以上外装工事業に従事。2005年に法人化。現在は床暖房の開発に力を入れる。
※記事へのご意見はこちら