2011年3月11日、巨大地震が東日本を襲った。この地震が日本人にもたらしたものは、自然の驚異の再認識と、原子力発電への危機感だった。それを受けて政府は翌年7月より再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入。太陽光をはじめとする再生エネの普及を目指すことを決めた。芝浦グループホールディングスはいち早く制度に反応した企業の1つ。嘉麻発電所を皮切りに、メガソーラーを次々と開設している。多くのチャレンジを続ける同社新地哲己会長に現状とファンド化のいきさつを聞いた。
<中小企業活動の障壁>
――「中小企業のチャレンジに見合う資金が用意されない」とは、金融機関の姿勢という意味でしょうか。
新地 そうですね。私どもの場合はメガソーラー事業という、新たなビジネスに取り組んでおりますので、とくに金融機関のバックアップが欲しいと感じていました。すべての金融機関が二の足を踏んだ、というわけではないのですが、多くの銀行では融資に踏み切っていただくことはできませんでした。それだけではなく、漏れ聞いたところによると、行員の方が私どものお客さまに対して、「芝浦はいずれとん挫する。事業への出資は考え直したほうがいい」と、アドバイスしていたこともあったようです。これには正直言いまして、怒りを感じました。事業を後押ししていただけないだけでなく、足まで引っ張られているように感じたのです。未知のものへ恐れを抱く気持ちはよくわかりますが、それでは中小企業は能力を存分に発揮できないのではないでしょうか。中小企業の発展が、ひいては地域の発展へとつながるのだと信じています。
――再生可能エネルギーは、東日本大震災以降つくられるべき新たなエネルギー計画を担う、大きな希望の1つです。大義の後押しと、制度的に約束された輝かしい未来があってもなお、金融機関は動かないのですね。
新地 もちろん、すべての金融機関がそうと言うわけではありません。後押しをしてくれるところもあります。しかし、残念なことに、近年、きわめて慎重な姿勢がとられているように感じます。13年3月末までならば、『ソーラー発電への投資分は即時償却することができる』という税制優遇もとられていますので、今はできるだけ多くのソーラーパネルが設置できる好機にあります。金融機関はできるだけ柔軟に対応していただきたいですね。
――太陽光の活用は国内産業に大きな刺激を与えてくれるものでもあります。エネルギー自給率が向上すれば、将来、エネルギー輸入も少なくなり、国内で循環するお金の量が増し、景気回復に大いに寄与する可能性を秘めています。金融機関も普及を推し進めてほしいものですね。
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<COMPANY INFORMATION>
■芝浦グループホールディングス(株)
所在地:北九州市小倉南区上石田4-17-22
福岡支店:福岡市中央区天神3-10-30オフィスニューガイア天神7F
資本金:4億5,400万円
設 立:2010年8月
TEL:093-962-6007
FAX:093-962-6005
URL:http://www.shibaura-group.com/
<プロフィール>
新地 哲己 氏
1953年生まれ。電気技術者として就職、77年にシンチデンキとして独立。84年に芝浦特機(株)として法人化。2011年にはメガソーラー事業を進めるためにニューガイアエナジー(株)を設立。以後、次々とメガソーラー発電所を設置、運営している。
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