最近、微小粒子状物質「PM2.5」の話題が福岡の人たちの間で盛んに聞かれるようになった。「アジアの玄関口」を標榜する福岡が、まさか中国の環境汚染の害を最も被る街になるとは、思いもよらなかったのではないか。中国発のPM2.5問題を考える。
世界保健機関(WHO)のデータによると、大気汚染都市ワースト10のなかに、中国の7都市がランクインするという驚愕の事実が浮き彫りになっている。世界のなかでここまで中国だけが突出して大気汚染がひどい要因は、工業の急速な発展と言える。ただ、他にも急速に工業が発展している国があるにも関わらず、なぜ中国だけがこうも大気汚染が進むのかは、都合の悪いものにはフタをする中国政府の体質、自己中心的な国民性からくるのではないかと想像している。
最初にPM2.5の異常な数値を観測したのはアメリカの調査だった。その日、同様の調査をしていた中国政府当局は「問題なし」との見解だった。それどころか、政府当局は、アメリカに対し、「勝手に余計なことをするな」と、クレームを入れてきたという。「自分にとって都合の悪い事実は公表しない」という隠ぺい体質が、大気汚染を悪化させた要因ではないか。
また、良くも悪くも自由奔放な国民性も大気汚染の原因となっているのではないかと考えられる。中国の国民は自分にとって不利益なことはやりたがらない。汚染水を川にたれ流そうが、空気をどれだけ汚そうが、自分にとって不利益にならない限りお構いなしだ。春節の爆竹の使用も極力控えるようお達しがあったというが、北京市では春節の最終日は、今年一番の大気汚染指数が高い日となってしまった。中国の国民に、他人を思いやる心が備われば、今後、大気汚染はひどくならないかもしれない。
中国から今まででも黄砂がたくさん飛んできていた。また、花粉症の人はこの時期、マスクなしでは過ごせない。それにも関わらず、体に害を及ぼす微粒子となると、私たちも急に神経質にならざるを得ない。最近、福岡県内でも超微粒子を通り抜けないマスクの売れ行きが好調のようだ。当事者の国、中国では日本製の空気清浄機が売れているという。インターネットメディアによると、「日本製品の不買運動よりも命のほうが大事だから、性能の良いものを買う」との意見が多数だという。
福岡市内のある小学校で先日、快晴にも関わらず、体育の授業が運動場で行なわれない日があった。その日、先生からは学校から帰っても外で遊ばないように指導があったという。PM2.5は、福岡の元気な子どもたちの遊び場まで奪い始めた。中国からの大気汚染物質が飛来してくるピークは3月から5月だというので、この騒動はまだ始まったばかりと言える。中国の新指導部のみなさんには、本腰入れて環境対策に力を入れてもらいたいものである。
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