韓国・仁川(インチョン)と聞けば多くの人が仁川国際空港を連想するほど、同空港は高い知名度を持つ。この空港は2001年3月29日に開港し、現在では北東アジア最大の国際ハブ空港として認知されている。しかし、それだけではない。同国際空港を拠点にして、政府主導のもと国内第3の都市として急ピッチで開発が進んでいるのだ。今回、最後の都市開発としての呼び名が高い「MIDAN CITY(ミダンシティ)」を取材。仁川地区の開発に係わるミダンシティ開発(株)を訪問し、現在の開発状況を聞いた。
<北東アジア随一の国際ハブ空港仁川国際空港を基軸に開発進む>
首都・ソウルの近郊、韓国の西北部に位置する第3の都市、仁川(インチョン)。都市開発著しい仁川を語るうえでなくてはならないもの、それは仁川国際空港だ。同空港は首都ソウル市から西へ約52km、高速道路を使えば車で約50分という近距離に位置する。「アジアのハブ空港」を目指す韓国政府の国策事業として1992年に着工、総工費は約7兆8,000億ウォンで、永宗島と竜遊島の間に広がる干潟を埋め立てて、01年3月に開港した。
仁川国際空港までは、福岡を出発して約1時間のフライトで着く。まさに東京に行く感覚である。この国際空港は開業以来、約53カ国、約177の都市と連結している。現在は3,750mの滑走路が2本、4,000mの滑走路が1本あり、年間の航空機発着約41万回、旅客受容数約4,400万人、貨物受容量450万トンの処理能力を持つ北東アジア随一の国際ハブ空港となっている。3回目の拡張工事は2017年から開始し、20年の完成を目指している。完成すれば、同空港の総面積は成田空港の約5倍となる4,742万m2となり、滑走路は4,000mが2本、3,750mが2本の計4本に増加。年間の航空機発着53万回、旅客受容数1億人、貨物受容量700万トンを取り扱うことができる巨大空港となる。
特筆すべき点は、旅客より先行した貨物取扱量の多さである。11年では約254万トンの貨物を取り扱い、ランキングは5位を保っている。日本の成田国際空港は10位となっているが、これは震災の影響が大きく、かなり落ち込んだ格好となった。成田国際空港は過去、世界トップクラスの貨物取扱量を誇っていたのだが、それも今は昔となってしまった。
同空港はハード面だけでなく、サービスというソフト面での評価も高い。国際空港協議会による空港サービスの評価は、1,700を超える空港のなかで05年より7年連続して1位。これは、どの空港も達成することができなかった輝かしい栄冠である。
また、単純に人と貨物が行き来する輸送基地ではなく、航空運送を中心にした「物流ビジネス文化エンターテインメント」を目指している。1つの巨大な空港複合都市として、機能別のテーマで構成された多機能におよぶ複合都市を目的として開発されているのだ。
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