日本人の価値観を揺るがせた東日本大震災の発生から、きょう(11日)で2年の時が過ぎた。被災地域によっては、復興の兆しが見えつつある。しかし、2年経った今でさえ「復興のスタートラインに立てていない」(地元関係者)状況なのが、福島県である。
福島県では、福島第一原発の事故により、地震・津波・放射能・風評など複合的な被害が重なり、除染や放射性廃棄物となったがれきなどの処理が、思うように進んでいない。
「ふくしまの復興のあゆみ」(福島県東日本大震災復旧・復興本部:1月28日)によると、県内の除染地域における除染作業の進捗は、道路で19.7%、住宅で15.3%と遅れが目立つ状況だ。県職員によると、この遅れの最大の理由は「仮置き場がない」ことだという。福島県内の空間放射線量は、2011年1月の2.74マイクロシーベルト(μSV/h)から13年1月には0.63となり、数値は確実に減少しているのだが、放射能に対する見えない不安が解消できず、仮置き場を提供する住民はなかなか見つからない。
放射性物質が拡散した影響により、福島県内の避難者は15万5,000人以上となっており、震災全体の避難者(31万5000人)の半数を占めている。昨年中に避難指示が解除された地域もあるが、帰還は進んでいない。特に深刻なのが、0歳から14歳までの子どもの減少率で、震災前と比較して福島の人口はこの年齢層の子どもが9%も減少している。除染が進んでいない状況では、子を持つ母親の不安を解消することはできない。今後も将来の担い手が福島から消えるようなら、超高齢化社会が進んでいく可能性さえある。
震災から2年目のきょう、福島県庁や他の自治体などでは、東日本大震災の犠牲者追悼の記帳を行なっている。また、14時30分からは「3.11ふくしま復興の誓い2013」と題した東日本大震災犠牲者の追悼式が開催される。間もなく午後2時46分、鎮魂の時刻が訪れる。
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