<バランス感覚が抜群>
曺社長の経営手法の特性を一言で言えば、『バランス感覚と自前』である。『ソフトの優位性で片がつく』というような思い込みは微塵もない。『ハードの裏付けがないと勝負にならない』という信念を持っている。非常にバランス感覚に富んだ才能を有する一方では、『ハードの製作は自前貫徹』という頑ななこだわりに徹している。
ソフト開発を支えるハードウェアには莫大なサーバーが必要だ。キューロボランクとキューロボブレザーは、キューロボ検索サービスのために、キューロボが自社開発したハードウェアである。1つのラックに128~最大1,000台のサーバーが収まっているので空間の節約につながる。電気の使用量も既存サーバーの10分の1程度にすぎない。すべて自前で開発するから、驚異的なコストダウンが図れるのである。これが同社の強みとなっている。
「では、どういう人材を求めるのか?」と曺社長に質問してみた。「なに、簡単なことだ。『我が社は自前主義を貫いている。何事にも自力で開発する根性があるか!!』と問い質す。即座に『すべてに挑戦する』と答えた人物を採用している。専門家は必要ない。ヤル気さえあれば我が社で徹底的に鍛え育てあげる。韓国の青年は捨てたものではない」との回答が返ってきた。人材も『一から自前で育てる』ことを原則にしている。
<最大の汎用分野を取捨選択中>
基本的なキューロボ検索ロボットエンジンの開発は2008年に完了している。曺社長の当面の仕事は「どの分野に活用させるか」を思案検討することだ。この検索エンジンの能力を最大限に発揮できるのは『ビッグデータ』のジャンルと焦点を絞っている。以前、韓国政府のある機関から『国民の医療診断カルテ作成』の打診があったそうだ。「各人の各医療機関での診断データが入手できたならば、個人の今後の健康動向は予想可能である」と断言する。とんでもない時代になったものだ!!
「事業展開のスピードは相手パートナーによって決定する。しかし、遅かれ早かれ5年もすれば、キューロボ仕様の検索エンジンを世界共通にしてみせる。その時点でマイクロソフトが貢献したレベルをクリアしたと自己評価できる」と今後の見通しを、これまた沈着に語ってくれた。我々、日本人にとって嬉しいのは、曺社長が日本を重視してくれていることだ。韓国に続いて日本の強力なパートナー探しをやってくれているのは感謝しなければならない。今後、来日の機会も増えそうだ。
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