高レベル放射性廃棄物最終処分場の誘致をめぐって贈収賄疑惑が浮上した鹿児島県南大隅町。同処分場誘致問題が表立った動きになった前町長時代から、現在の森田俊彦町長(当時商工会長)が深く関わっていたことが複数の関係者の証言でわかった。誘致をめぐって森田町長らと東京電力を結んだキーマンに、ある会社社長が浮上してきた。原幸一氏、東京都千代田区に本社があるオリエンタル商事(株)の代表取締役だ。原社長が所有していたボートが森田町長に譲渡されており、さらには現・前町長がそれぞれ原社長から飲食接待を受けていたという証言がある。複数の関係者の証言によると、森田町長ら町の有力者が同社の鹿児島支店を訪れている。オリエンタル商事とはいったいどんな会社なのか。原社長とはいったいどんな人物なのか。謎がふくらむ。
取材班は、現地を訪れた。
支店の所在地は、錦江湾をはさんで大隅半島の対岸、指宿市。東シナ海を一望する「砂むし温泉地」に近い。車を走らせると、目の前に、ハリウッド映画のロケに使われそうな豪華別荘が現れた。白い壁に囲まれた海沿いの広大な一角だ。黒い西洋風の門の脇にはローマ字で「HARA」の表札がかかっている。
エントランスの落ち葉を掃除している男性に声をかけた。「オリエンタル商事の支店は、ここでいいのでしょうか?」
男性は「そうです」。記者の「表札は原さんで、別荘みたいですが?」との問いかけに、「原社長の別荘でもあります」と答えた。
この男性は、オリエンタル商事の従業員で、別荘の管理をしているという。「オリエンタル商事」と書かれた軽トラックも停まっている。2つのプールがあり、馬が飼われている。
水面は南国の日差しに輝き、白馬は、のどかに草を食んでいた。
| (2) ≫
※記事へのご意見はこちら