ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

東日本大震災

復興まで「までいライフ」で粘り強く(3)~福島県飯舘村長 菅野 典雄 氏
東日本大震災
2013年3月13日 11:12

<復興加速へ「まずは除染」>
sora_25.jpg 被災地に完全には寄り添えなかった国の対応。「今も被災地は有事。平時の対応をしていては、復興は加速しない。平時の法律では復興は進まない。もっともやるべきことは、除染ですね。ここが進めば、一歩、飯舘の復興が前へ進む。2年ぐらいで村に戻りたいものだと言っていましたが、ようやく除染がちょっとスタートしたばかり」と、菅野村長は、危機感を募らせる。帰村に必要な除染も、土地の所有者が亡くなっていたり、技術的にも未知の部分が大きかったりと、さまざまな事情でそのスピードは遅れている。除染した土の中間貯蔵施設をどこに作るかも、まだ決まっていない。

 除染が遅れれば、その分、帰村も遅れることになる。2000年に起こった三宅島の噴火災害や04年に起こった中越地震の山古志村の避難者たちで、その後に島や村に戻った人々は、60~70%にとどまっている。

 飯舘村では、アンケートなどの調査で、「村にもう戻らない」という人が3割を超えているという。高齢者の間でも、若者層が村に戻らなければ、産業である農業や酪農、関連する仕事が成り立たないとの不安を感じている人も多い。除染の効果が上がり、国の定める基準の年間20ミリシーベルトを下回ったとしても、村民が納得した上で、行政に避難解除を出してほしいとの声も出ている。帰村実現には、乗り越えなければならない壁がまだまだ多い。

<「効率」よりも『までい』>
 そんな厳しい状況のなか、菅野村長は、効率や経済成長を優先するよりも、スローで、つつましく生きる「までい」ライフを村民に勧めている。「までい」とは、両手という意味の東北地方、福島県の方言で、漢字では「真手」と書く。真実の手、両手そろった手という意味を持つ。「丁寧に、大切に」「心を込めて」「つつましく」という含みを持つ。

 東北地方の古い方言であるこの「までい」こそ、自然と共生していく生き方だと菅野村長はいう。「戦後、効率と経済成長一辺倒でやってきたことが今、限界点に来ているのではないか。成熟社会の日本。お互いが住みよい社会を作っていくことが大切。成長だけがこれからの社会のありようではない」と、再び経済最優先になりつつある社会に警鐘を鳴らした。

(つづく)
【岩下 昌弘】

≪ (2) | (4) ≫


※記事へのご意見はこちら

東日本大震災一覧
NET-IBニュースチャンネル
2013年3月12日 18:24
東日本大震災
2013年3月12日 11:07
東日本大震災
2013年3月 8日 11:18
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル