<愛知沖でガス産出に成功>
「資源国・日本」への道が開けたかもしれない。資源エネルギー庁は12日、「燃える氷」とも呼ばれる海洋資源メタンハイドレートからのガス産出試験に成功したこと発表した。経産省から委託を受けた石油天然ガス・金属鉱物資源機構などが、渥美半島~志摩半島の沖合で「第1回メタンハイドレート海洋産出試験」を行ない、メタンハイドレート層から天然ガスの主成分メタンガスを取り出すことに成功した。海底約1キロ地点まで掘削し、「減圧法」というやり方で、海底下のメタンハイドレートを分解してガスを生産。海底下から取り出すことに成功したのは世界で初。
現在、メタンハイドレートの開発には、アメリカ、カナダ、韓国などが着手しているが、日本が先行したのは、日本近海に豊富に埋まっているということが探査によりわかった点が大きい。資源探査力、環境調査力、実用化に関わる技術力で他国を上回った。
資源エネルギー庁資源燃料部の担当者は、「ほかの国があまりやってこなかったこともあるが、資源探査やフィールドで行なう技術で日本が全般的に一番進んでいた」と、説明。また、「一番の課題はコスト面。今回の試験に関しては、今回の方法が一番適しているということで『減圧法』を選択した。実用化に向けて、今回の試験のデータを解析して、さまざまな課題が見えてくる。コスト面を考えた場合、実際に商業ベースに乗せるには、違う方法が向いているかもしれない」と、今後の課題について語った。
とはいえ、次世代の国産天然ガス実用化が一歩前進したことに違いはない。資源エネルギー庁では、今回の調査対象海域である東部南海トラフ海域(静岡県から和歌山県の沖合)に、日本のLNG輸入量(2011年)の約11年分を補えるメタンハイドレートが埋蔵されていると見込んでいる。ただし、資源として利用できる量は、どれだけ回収できたかにかかっており、技術革新が期待される。日本は、今回得られたデータをもとに2018年ごろまでに商業生産に向けた技術確立を目指す。
今回の燃える氷・メタンハイドレートからのガス産出成功が、日本のエネルギー事情を大きく変える可能性は十分だ。
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